2026.03.23
満室の窓口
成功事例で読み解く選ばれる物件のつくり方
今回のテーマは、空室対策は“何をするか”ではなく、“どの順番で進めるか”が成果を左右するという考え方です。
空室が発生した際、多くの場合「家賃を下げる」「リフォームを行う」「募集を強化する」といった対策が個別に検討されます。
しかし実際には、空室の原因は単一ではなく、家賃・設備・デザイン・見せ方・募集条件・掲載内容など、複数の要因が複雑に絡み合っています。
だからこそ重要なのは、場当たり的な対応ではなく、 現状を正しく把握し、原因を整理し、適切な順序で対策を講じることです。
本レポートでは、リノベーション戦略の基本となる「ニーズ把握」から、「コンセプト設計」「設備選定」「賃料設定」「募集戦略」に至るまで、成功事例をもとに体系的に解説しています。
さらに、AIを活用した賃料査定やデータ分析の具体的な手法についても紹介しています。
「今の募集方法で本当に成果が出ているのか」 「より効率的に空室対策を進めたい」 このような課題をお持ちのオーナー様にとって、明日からの意思決定に直結する内容です。
ぜひ本レポートを、自身の賃貸経営を見直すきっかけとしてご活用ください。

【セミナー情報】
対象:不動産投資家・賃貸経営者・管理会社担当者
テーマ:成功事例で読み解く選ばれる物件のつくり方
主催:満室の窓口(株式会社クラスコ)
登壇:満室の窓口 川崎中原店
※本レポートは、オンライン共有会での発表内容をもとに再構成しています。
1.リノベーションを検討する際のポイント
①現状ニーズの把握
②コンセプトとデザイン
③設備交換の注意点
④賃料設定と投資分析
⑤実施の検討
2.事例
3.スマホ時代の募集戦略
4.AI査定とデータ分析による賃料設定
5.まとめ
1.空室対策の鉄則
①現状ニーズの把握

リノベーション検討において、最も重要なのが「現状ニーズの把握」です。
ここがズレた状態で工事を進めると、どれだけ費用をかけても入居が決まらない“失敗リノベーション”に直結します。
必ず以下の観点から整理してください。
・物件・建物の特徴把握
立地・築年数・構造・間取りなどの基本情報
他物件と比較した「強み」を明確化 → 強みを活かすリノベーションが前提
・入居者の家族構成
現在の入居者属性(単身・ファミリーなど)
今後狙うべきターゲット(少子高齢化も踏まえる)
・年齢層の分析
現在のボリュームゾーン /後入居してほしい年齢層の明確化
・ライフスタイル・属性の把握
社会人/学生/在宅ワーク/ペット飼育など
ニーズに応じた差別化の方向性を決定
・周辺環境の変化
再開発・商業施設の進出など
エリアの将来性も含めた判断
まずは「誰に貸すのか」を徹底的に言語化してください。
リノベーションは“工事”ではなく“商品設計”です。
②コンセプトとデザイン

人は情報の83%を視覚から得ると言われています。
つまり、第一印象=デザインが入居判断に直結します。
リノベーションでは以下を意識してください。
・コンセプト設計の重要性
「なぜこの部屋を選ぶのか」を明確にする
ターゲットに刺さるストーリー設計
・デザインによる賃料アップ<
古い物件でもデザイン次第で価値向上が可能
設備更新が難しい場合でも効果あり

・色彩の活用
色には心理効果がある(安心感・高級感など)
ターゲットに合わせたカラー設計

・既存資産の活用
例:和室をあえて残し、デザインで魅力化
→ コストを抑えつつ差別化

「設備を新しくする」だけでは不十分です。
“選ばれる理由”をデザインで創り込んでください。
③設備交換の注意点

設備交換は「何を入れるか」ではなく、「誰に対して、どのレベルの設備を入れるか」が重要です。
検討時のポイント
・設備劣化の確認
交換が必要なものを見極める
・ニーズとの一致
ターゲット層に必要な設備かどうか
・市場比較
周辺類似物件の設備状況を調査
設備ランキングの活用(例:必須設備TOP10)
・エリア特性の理解
地域によって求められる設備は大きく異なる
・細部設計の徹底(重要)
同じ設備でも仕様で差が出る
具体例:
単身向け → 2口コンロ・コンパクトキッチン(1500サイズ)
ファミリー向け → 3口コンロ+グリル・大型キッチン(2100サイズ)
「とりあえず人気設備を入れる」はNGです。
ターゲットに最適化されたちょうどいい設備選定を行ってください。
④賃料設定と投資分析
賃料設定は感覚ではなく、データに基づく判断が必要です。
・AIによる賃料査定
周辺類似物件との比較
成約賃料・空室率の推移分析

・最終調整
エリア特性・物件独自の強みを加味

・投資分析の実施
原状回復との比較
リノベーション費用の回収期間
10年間の収益シミュレーション

リノベーションは「支出」ではなく「投資」です。
必ず回収シナリオまで設計してください。
⑤実施の検討
最後に、これまでの①〜④を踏まえ、実施判断を行います。
重要な視点:
・共用部を含めた全体最適
専有部だけでなく建物全体で価値を考える
・中長期修繕計画の策定
特に大規模修繕は事前計画が必須
・将来(10年後)を見据えた判断
短期的な空室対策ではなく資産価値向上
・次世代への引き継ぎ
継続的に収益を生む物件設計
「この1室をどう埋めるか」ではなく、「この建物全体をどう収益化していくか」という視点で判断することが重要です。
空室対策としてのリノベーションも、もはや一時しのぎでは成果につながりません。
市場動向・入居者ターゲット・収益性を踏まえた“戦略的リノベーション”へと発想を切り替えていきましょう。
▼以下の動画で詳しく解説しています。
2.事例
以下では、実際に弊社が手がけたリノベーション事例をもとに、賃料アップ・入居率改善を実現した成功パターンを具体的に解説しました。
単なる工事の話ではなく、「どう設計すれば収益が伸びるのか」という視点で読み進めてください。


対象となったのは、6畳1K・ユニットバスの一般的な単身向けマンションです。
構造上、間取り変更ができず、大規模な設備交換も限定的な条件の中で、どのように価値を高めるかが課題となりました。
そこで、 「設備に頼らず、デザインで差別化する」という方針を明確に設定しました。
次に実施したのがターゲットの明確化です。
・2〜3階:20代女性単身をメインターゲット
・1階:男性単身を想定し、賃料は控えめに設定
このターゲット設定に基づき「入居者の若返り」と「収益改善」をコンセプトとして設計を進めました。
特に女性ターゲットの部屋については、 明るさ・清潔感・デザイン性を重視した空間づくりを軸としています。
設計前には、現入居者および内見者に対してアンケートを実施しました。
その結果、明確になったのが 「1Kでも収納を増やしてほしい」というニーズです。
このように、感覚ではなく“実際の声”をもとに改善点を特定し、 リノベーション内容へと反映していきました。
ニーズ把握は仮説ではなく「事実ベース」で行うことが、成果を左右します。
リノベーション工事では大きな設備交換は行わず、 内装デザインの刷新に集中しました。
具体施策:
クロスの貼り替えによる空間イメージの刷新
建具・扉へのシート施工で統一感を演出
バスルームもシートで印象改善
照明変更により明るい空間へ
これにより、コストを抑えながらも 「古さを感じさせない部屋」へと再生しました。
全室同一仕様にするのではなく、 部屋ごとに異なるコンセプトを設定しました。
これにより、 内見時の選択肢が広がる 物件内での競争力が向上する ターゲットごとの最適化が可能になる といった効果を生み出しています。
【結果】
・各階、部屋ごとにコンセプト、住み分けを実施。
・間取り、設備はそのまままで、デザインを取り入れる。
・管理開始時の入居率50%→100%へ改善。
・リノベーションのお部屋は賃料14.5%UP!

本物件は、全室空室の2DKアパートであり、 当初オーナー様は「建替え」を検討されていました。
そこでまず行ったのが、オーナー様の資金計画・物件の立地・ポテンシャル・周辺市場の動向を踏まえた総合的な判断です。
その結果、 「リノベーションによって収益改善を図り、建物を活かす」 という決定に至りました。
次に実施したのが、明確なターゲット設定です。
メインターゲット:20代〜30代前半のカップル
このターゲットに対して、「明るく統一感のある、住みやすい空間」をコンセプトに設定しました。
さらに今回は、建物全体の資産価値向上を目的とし、 一部屋単位ではなく、一棟トータルでのリノベーションを前提に計画を進めました。


まず室内では、ターゲットに合わせた空間設計を行いました。
和室 → 洋室へ変更
LDKを中心とした明るい内装へ刷新
デザインに統一感を持たせ、居住満足度を向上
また、今回は設備面についても強化し、ユニットバス交換・各種設備の更新 を行い「新しさ」と「使いやすさ」を両立させました。
大きな特徴は、室内だけでなく 建物全体を商品として再設計した点です。
具体施策:
外装全面塗装(デザイン性を重視)
エントランス・共用部の刷新
集合ポストの更新
駐車場の区画整理
サイクルポート(駐輪場)の新設
特に、対象エリアでは自転車利用が多いことから、 駐輪場整備は入居決定に直結する重要な施策となりました。
さらに競争力を高めるため、 部屋ごとに異なるコンセプトを設定。アパート名の変更(ブランド刷新)を実施しました。
これにより、 内見時の印象向上 物件の“古さ”の払拭 新築に近いブランドイメージの構築 を実現しています。

【結果】
・想定していた入居者層となり若返りへ
・工事後1ヶ月間後、入居率0%→100%へ
・賃料40%UP


本物件は、これまでオーナー様が居住されていた戸建て住宅を、賃貸として貸し出したいというご相談からスタートしました。
築30年が経過しており、設備の古さ 和室中心の間取り 現代ニーズとのズレといった課題が顕在化していました。
そのためまずは「どの程度手を入れるべきか(全面改修か、部分改修か)」 の判断から着手しました。
次に、戸建てという特性を踏まえ、ターゲットを設定しました。
ターゲット:ファミリー層
その上でコンセプトを「ナチュラルで明るく、家族がくつろげる住まい」 と定義しました。
ここでは“高級感”ではなく、安心感・使いやすさ・居心地の良さを重視しています。
大きなポイントは、すべてを新しくしないという判断です。
具体的には:
キッチン:使用可能なため交換せず活用
浴室:タイル張り → パネル施工で再生
これにより、コストを抑えながら 見た目と清潔感を大きく改善しました。
リノベーションは「どこに投資するか」よりも「どこに投資しないか」の判断が重要です。

次に、生活動線と使いやすさを重視した改修を行いました。
・和室 → 洋室へ変更
・壁を撤去し、キッチンをLDK化
・2階:オープン収納を採用し自由度向上
これにより、従来の“古い間取り”から、 現代のライフスタイルに合った空間へと再生しました。
内装全体はコンセプトに沿って、明るい色味で統一 ナチュラルテイストの仕上げ、清潔感のある空間づくりを徹底しました。
結果として、築年数を感じさせない印象へと大きく改善しています。
・工事後、2週間で成約
・想定していた賃料より30%UPで成約

3.スマホ時代の募集戦略
リノベーション後の成果を最大化するための「募集戦略」、特にスマートフォン閲覧を前提とした写真の重要性と具体施策について整理します。
■ STEP1:募集環境の変化を正しく理解する
まず前提として押さえるべきは、現在の部屋探しは“スマートフォン中心”に完全移行しているという点です。
従来のようにパソコン画面でじっくり比較されるのではなく、スマホで瞬時に判断される時代になっています。
そのため、「一覧画面で目に留まるかどうか」が第一関門となります。
■ STEP2:写真の質を徹底的に高める
次に着手するのが、写真クオリティの改善です。
従来の写真では、室内が暗い 窓の外が白飛びしている 実際より狭く見える といった課題がありました。
そこで、専用技術を活用し、室内全体を明るく表現・窓の外まで鮮明に描写・空間の広がりを正確に伝えるといった見た瞬間に印象が良い写真へと改善しました。
■ STEP3:バーチャル家具で生活イメージを訴求
写真の次のステップとして、 家具・家電のバーチャル配置を行います。
・実際の室内は空室のまま
・写真上にコンセプトに合った家具を配置
これにより、入居後の生活がイメージしやすくなり、ターゲットに刺さる空間演出が可能です。
他物件との差別化ができるといった効果を生み出します。
■ STEP4:外観写真で第一印象を制する

室内だけでなく、外観写真の改善も重要です。
外観は、人でいう“顔”にあたります。
具体施策:
・不要な電柱・障害物の除去
・明るさ・色味の調整
・夕景加工による雰囲気演出
これにより、 「なんとなく良さそう」と思わせる第一印象を作り出します。
■ STEP5:スマホ最適化で反響を最大化
ここまでの施策を、すべて “スマホでどう見えるか”を基準に最適化します。
・小さな画面でも映える明るさ
・構図 一目で魅力が伝わる写真順
・スクロール中に止まるインパクト
その結果、 問い合わせ数が大幅に増加する成果につながりました。
4.AI査定とデータ分析による賃料設定
賃料設定を感覚ではなくデータに基づいて行うために、日常的に取り組んでいる情報収集と分析、そしてAI査定を組み合わせた賃料設定の考え方について整理します。

①日常的な顧客データの蓄積と分析
まず前提として、適正な賃料設定を行うためには、募集を開始してから慌てて判断するのではなく、日頃から市場の声を蓄積しておくことが重要です。
そこで取り組んでいるのが、来店されたお客様へのアンケート取得と、その内容の継続的な分析です。
具体的には、希望賃料・希望条件・間取りや設備への要望・エリア選定の傾向といった情報を日々蓄積し、実際のニーズを把握しています。
この積み重ねによって、「今、どのような条件の部屋が求められているのか」を、感覚ではなく事実として捉えることが可能になります。
②競合募集データの比較分
次に行っているのが、周辺市場との比較です。
自社内の感覚だけで賃料を決めるのではなく、 大手ハウスメーカーを含む賃貸募集データを取得し、比較・分析しています。
これにより、
・周辺物件がどの水準で募集されているか
・競合物件はどの設備・条件で差別化しているか
・自社物件が市場の中でどの位置にあるか
を客観的に把握することができます。賃料設定は物件単体で考えるのではなく、市場の中での相対評価として検討することが欠かせません。
③AIによる賃料査定の活用
こうしたデータ分析に加えて、賃料設定の精度をさらに高めるために、AIによる賃料査定を活用しています。
AI査定では、 周辺類似物件との比較 成約賃料の傾向 空室率の推移 市場の動き など、複数のデータをもとに賃料の妥当性を判断します。
これにより、担当者の経験や勘に頼るだけでは見落としやすい市場変化も踏まえながら、より精度の高い賃料設定が可能になります。
④データを統合し、最終的な賃料を設計する
最終的な賃料設定は、 1つのデータだけで決めるのではなく、 顧客データの分析 競合募集データの比較 AIによる賃料査定 この3つを踏まえたうえで総合的に判断しています。
その結果、 エリア内でも競争力のある賃料設定と、高い入居率の両立を目指すことができます。
賃料を高く設定すること自体が目的ではありません。
重要なのは、市場に受け入れられながら、収益を最大化できる水準を見極めることです。
長期空室率0.1%以下を維持する活動
ここでは、長期空室率0.1%以下の維持を支える実践的な取り組みとして、現地確認を中心としたチーム活動と、その後の提案プロセスについて整理します。
①少人数チームで現地に足を運ぶ
長期空室を防ぐためにまず行っているのが、2名から3名で1チームを組み、実際に空室物件へ足を運ぶことです。
机上のデータ確認だけでは把握しきれない課題は少なくありません。
そのため、現地に行き、実際に見て、感じることを重視しています。また、男女を含む複数人で確認することで、 1人では気づきにくい視点や印象の違いを拾い上げることができます。
②室内だけでなく建物全体をチェック

現地確認では、室内の状態だけを見るのではなく、建物全体や外部環境まで含めて確認します。
具体的には、
・室内の印象や使い勝手
・共用部の清潔感
・外観や外構の見え方
・外部改修の必要性
・周辺環境の印象や利便性 といった点を幅広くチェックしています。時には実際に周辺を歩き、 生活者目線でエリアの雰囲気や導線まで確認することで、募集時に伝えるべき魅力や、改善すべきポイントを洗い出しています。
③チームで課題を抽出し改善策を整理
現地で確認した内容は、その場の感想で終わらせるのではなく、問題点と改善点として整理します。
たとえば、第一印象で弱い部分はどこか・写真で伝わりにくい魅力は何か・設備や見せ方に改善余地はあるか・募集条件の見直しが必要かといった観点から、入居が決まらない理由を具体化していきます。
④不動産部全体で協議し、対策を具体化

その後、チームで抽出した課題を不動産部全体で共有し「どうすれば入居が決まるか」を組織全体で検討します。
ここでは、担当者個人の判断に任せるのではなく、複数の視点から改善策を持ち寄ることで、より実効性の高い提案につなげています。
⑤オーナー様へ提案書・報告書として共有
検討した内容は最終的に、 提案書・報告書としてオーナー様へ共有しています。
単に「決まりにくいです」と伝えるのではなく、何が課題なのか・どこを改善すべきか・どのような対策が効果的かを整理した形でお伝えすることで、オーナー様にも現状と方向性を具体的に理解していただけるようにしています。
空室対策は、募集を出して待つことではありません。
現地を見て、課題を見つけ、改善策を組み立て、提案まで行うところまでが本当の空室対策です。
5.まとめ
データ分析と現地確認、この両輪があるからこそ、高い精度の賃料設定と継続的な空室改善が実現します。
賃料設定は机上の数字だけで決めるものではなく、また空室対策は思いつきで進めるものでもありません。
市場データと現場感覚の両方を掛け合わせることで、初めて成果につながる具体的な対策が見えてきます。
▼以下の動画で詳しく解説しています。
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