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2026.08.24

満室の窓口

【賃貸経営】大規模修繕はいつ必要?長期修繕計画で資産価値・入居率・家賃収入を守る方法

今回の共有会では、長期修繕計画を立てることで、建物の不具合や大規模な被害に対して事前に備える重要性について共有しました。

賃貸経営において、修繕は単なる「壊れた箇所を直すための支出」ではありません。

建物の資産価値を守り、入居率や家賃収入を維持し、長期的に安定した経営を続けるための重要な投資です。

特に築11〜15年、21〜25年は修繕費用が大きくなりやすい時期です。

問題が起きてから対応するのではなく、「いつ・どこに・どれくらいの費用が必要になるのか」を事前に把握し、オーナー様と計画を共有しておくことが重要になります。



【セミナー情報】

対象:不動産投資家・賃貸経営者・管理会社担当者

テーマ:【賃貸経営】大規模修繕はいつ必要?

長期修繕計画で資産価値・入居率・家賃収入を守る方法

主催:満室の窓口(株式会社クラスコ)

登壇:満室の窓口 飯田店 牛山様

※本レポートは、オンライン共有会での発表内容をもとに再構成しています。


<目次>
1.オーナー様の悩みから考える「大規模修繕」の重要性
2.賃貸経営を続けるなら「必要な投資」を避けない
3.実際に発生した大規模被害から学ぶ
4.被害が発生したときのクレーム対応フロー
5.計画修繕におけるメリット・ 入居者メリット
6.⻑期修繕計画と資金繰り
7.外観写真・外壁塗装事例
8.⻑期修繕計画と資金繰り
9.まとめ


1.オーナー様の悩みから考える大規模修繕の重要性

建物は築年数の経過とともに必ず劣化します。

その劣化を放置すると、「見た目が古くなる」という問題だけではなく、入居者から選ばれにくくなり、空室増加や家賃下落につながります。

だからこそ大規模修繕には、

・建物の劣化を抑える

・資産価値を維持する

・入居者の快適な居住環境を守る

・家賃水準を維持する

・入居率を維持・向上させる

という役割があります。


工事は大きく4種類に分けて考える

① 原状回復工事

退去後の部屋を次の入居募集ができる状態へ戻す工事です。

② 補修・設備交換

故障や設備寿命に応じて行う工事です。

③ リノベーション工事

物件の商品力を高め、入居者から選ばれる部屋へ変えていくための投資です。

④ 大規模修繕

建物そのものを長期間維持するために必要となる工事です。

大規模修繕は、一度問題が発生すると被害範囲も費用も大きくなりやすいことが特徴です。

だからこそ「壊れてから直す」のではなく、「壊れる時期を予測して先に準備する」ことが重要です。



2.賃貸経営を続けるなら「必要な投資」を避けない

オーナー様が物件を所有し続けるうえでは、まず「今後も賃貸住宅として経営を続けるのか」という判断があります。

経営を継続しない場合には、

・売却

・建物の解体

・更地化

・賃貸住宅以外への土地活用

といった選択肢があります。

賃貸住宅として経営を続ける場合には、「必要な投資をするのか、しないのか」という判断が必要になります。

投資をしないまま経営を続ければ、外観や室内、設備の劣化は進みます。

必要な投資を行えば、

・計画的な修繕

・リノベーション

・建物性能の向上

・現在の入居者ニーズに合わせた設備改善

などによって、物件の競争力を維持できます。

修繕やリノベーションは単なるコストではありません。

「今後もこの物件で賃貸経営を続ける」という経営判断に伴う投資として捉えることが重要です。


オーナー様への提案時には、単に「古くなってきたので工事をしましょう」

と伝えるのではなく、「この物件を今後10年・20年と賃貸住宅として経営していくために、今どこへ投資する必要があるのか」という経営視点で話していきましょう。


建物には、部位ごとに劣化や故障が起こりやすい時期があります。

あらかじめ修繕時期の目安を把握しておくことで、突然の高額工事を減らし、計画的に資金を準備できます。

建物の構造や立地、使用状況などによって前後しますが、主な修繕時期の目安は次の通りです。


修繕箇所修繕・交換時期の目安
屋根の塗装・補修11〜15年目
屋上防水21〜25年目
外壁の補修・塗装11〜18年目
外壁タイル等12〜18年目
給湯器・エアコン11〜15年目
階段・廊下等の鉄部・防水4〜10年目、11〜18年目
給排水管の高圧洗浄約5年ごと
配管交換約30年目

特に注意したいのが、普段は目につきにくい給排水設備です。

外壁や屋根は目視で劣化に気づきやすい一方、配管内部の詰まりや腐食は発見が遅れやすく、一度漏水すると複数の部屋や共用部へ被害が広がる可能性があります。

「見えていないから問題がない」ではなく、築年数から逆算した点検・メンテナンスが重要です。

築11〜15年、21〜25年は修繕費用が大きくなる

修繕費は毎年均等に発生するわけではありません。

築年数によって大きな波があり、特に築11〜15年、21〜25年に費用が集中する傾向があります。

・RC造・10世帯・1Kの場合

21〜25年目は、戸当たり約90万円と大きな費用が発生する想定です。

・木造・10世帯・1LDK〜2DKの場合

木造についても、新築〜10年頃までは戸当たり約9万円が目安ですが、

11〜15年目、21〜25年目には戸当たり約64〜98万円規模まで費用が大きくなる時期があります。

建物の老朽化が進むにつれて、単独の設備交換だけではなく、

・外壁

・防水

・鉄部

・給排水設備

・共用部

など複数箇所の修繕時期が重なるためです。

築20年になってから、

「そろそろ修繕が必要です。数百万円準備してください」

と伝えても、オーナー様がすぐに対応できるとは限りません。

そのため、管理会社側から早い段階で、

「この築年数になると、これくらいの修繕が予想されます」

と共有し、資金計画まで含めて準備していただくことが重要です。

大規模修繕をしないと起こる「負のスパイラル」

最も重要なポイントの一つとして共有されたのが、計画修繕を行わないことで賃貸経営全体が悪循環に陥る「負のスパイラル」です。

計画的な修繕を行わない場合、

修繕をしない

経年劣化を放置する

建物の老朽化が進む

物件価値が低下する

入居率が低下する

家賃収入が減少する

修繕資金が不足する

さらに修繕が難しくなる

という悪循環が発生します。

一方、長期修繕計画を立てて計画的な修繕を実施すると、

計画修繕を行う

老朽化の進行を抑える

物件価値を維持する

入居率を維持する

安定した家賃収入を確保する

次の修繕に必要な資金を準備できる

という好循環をつくることができます。

オーナー様から、「まだ使えているから修繕しなくてもいいのでは?」という反応が出るケースもあります。

その際には、修繕を単独の工事として説明するのではなく「今修繕することが、将来の空室・家賃下落・高額な緊急工事を防ぐことにつながる」という賃貸経営全体の流れを伝えていきましょう。


3.実際に発生した大規模被害から学ぶ


事例① 漏水による階下への被害

RCマンションで、上階の洗濯機ホースが外れ、水が長時間流れ続けたケースです。

結果として下階まで水が回り、

・天井への漏水

・床材の大幅な劣化

・キッチン下部や排水周辺への被害

が発生しました。

一つの設備トラブルでも、複数箇所の修繕や入居者対応が必要になる可能性があります。


事例② 受水槽・配管からの漏水

受水槽周辺の配管トラブルによって水がオーバーフローし、共用廊下が水浸しになった事例も紹介されました。

発生したのが深夜だったため発見が遅れ、気づいた時には広範囲へ水が広がっていました。

設備トラブルは、「いつ起きるか」だけでなく「発見までにどれだけ時間がかかるか」も被害規模を左右します。


事例③ 浄化槽からのあふれ

長期間、浄化槽の適切な汲み取りや管理ができていなかった物件では、浄化槽の蓋部分から内容物があふれ、駐車場まで流れ出す事態が発生しました。

定期的な点検やメンテナンスを怠ると、設備そのものの修繕費だけでなく、

・入居者への影響

・駐車場利用への影響

・衛生上の問題

・クレーム対応

まで発展します。


事例④ 外壁・コーキングの劣化、爆裂

外壁や目地部分のコーキングが劣化し、剥がれや亀裂が発生している物件も紹介されました。

また、共用階段などではコンクリート内部に水分が入り、鉄筋の膨張などによってコンクリートが浮いたり剥がれたりする「爆裂」が発生するケースがあります。

外壁の劣化は美観だけの問題ではありません。

落下すれば入居者や通行人へ被害を及ぼす可能性があり、安全管理の観点からも早期発見・早期対応が必要です。


事例⑤ 地震発生時の外壁崩落

共有会では、山梨県内で地震が発生した際、甲府市内の建物で壁が道路側へ崩落した写真も紹介されました。

平常時には問題なく見えていた建物でも、経年劣化した状態で地震などの大きな外力が加われば、被害が一気に表面化する可能性があります。

災害を防ぐことはできませんが、日頃から建物を健全な状態に維持することで、被害を小さくできる可能性があります。

※地震の発生日・震度等の詳細は文字起こし内容をもとに整理しています。外部公開する場合は、元資料の表記をご確認ください。


4.被害が発生したときのクレーム対応フロー

万が一トラブルが発生した場合には、初動の速さと原因の切り分けが重要です。


STEP1|受付・初期対応

漏水などの連絡を入居者から受けたら、まず被害拡大を防ぎます。

漏水の場合には、

・止水栓を閉めてもらう

・被害状況を確認する

・必要な応急処置を案内する

など、すぐにできる対応を行います。

同時にオーナー様への報告も進めます。

STEP2|現地確認・原因特定

応急処置だけでは対応できない場合には、

・巡回スタッフによる現地確認

・専門業者の手配

・不具合箇所の確認

・原因調査

を行います。

ここで重要なのが、誰の負担で修繕を行うのかを判断するための原因特定です。

STEP3|責任区分を判断する

原因によって対応を分けます。

経年劣化・建物設備側が原因の場合

配管や設備の経年劣化、大規模修繕を行っていなかったことによる不具合など、建物側に原因がある場合には、オーナー様へ状況を報告し、必要な修繕を提案します。

入居者の過失が原因の場合

入居者の使用方法などに原因がある場合には、入居者へ原因と費用負担について説明します。

原因を明確に特定できない場合

オーナー様にも入居者にも明確な責任がない場合や判断が困難な場合には、状況を整理したうえでオーナー様と協議し、対応方法を決定します。

STEP4|修理・動作確認

原因と対応方針を決めたら、

・修理を実施

・完了状態を確認

・通水・動作テスト

・再発の可能性を確認

まで行います。

STEP5|完了報告

最後に、修理内容・原因・対応箇所・完了状況を整理した完了報告を行い、一連の対応を終了します。

トラブル発生時にその場しのぎで対応するのではなく、「受付→応急処置→原因特定→責任区分→修繕→確認→報告」までを一つの流れとして標準化することが重要です。


▼以下の動画で詳しく解説しています。


5.計画修繕におけるメリット・ 入居者メリット

計画的に修繕を実施する大きな目的は、単に建物をきれいにすることではありません。

建物の状態を維持することで、以下のようなメリットがあります。

共有されたデータでは、計画修繕を実施した効果として、

・高い入居率を確保できた:29.3%

・家賃水準を維持できた:28%

といった結果も紹介されました。

加えて、入居期間の長期化や周辺物件に対する競争力向上も、計画修繕による効果として挙げられています。

入居者に長く住んでいただくことができれば、退去のたびに発生する、

・空室期間

・募集費用

・原状回復費用

・新たな入居者募集の手間

も減らしていくことができます。

つまり、計画修繕は建物を守る施策であると同時に、空室損失を減らし、家賃収入を守る施策でもあります。

計画修繕を実施していない場合の実質利回りは、

・木造:2.13%

・RC造:1.90%

でした。

一方、計画的に修繕を実施した場合には、

・木造:2.78%

・RC造:2.53%

まで上昇するデータが紹介されました。

修繕工事そのものには当然費用がかかります。

しかし、建物を良好な状態に保つことで、

修繕する

物件の魅力・安心感を維持する

入居者が決まりやすくなる

長く住んでもらいやすくなる

空室期間が短くなる

家賃収入が安定する

実質的な収益性が高まる

という流れをつくることができます。

オーナー様へ税務面まで含めた提案を行う場合には、最終的な処理について税理士等の専門家へ確認していただくことを前提に進めましょう。

重要なのは、「利益が出たから慌てて工事をする」のではなく、もともと必要になる修繕を長期計画の中に組み込んでおくことです。

入居者が住み替え先を探す際には、立地・間取り・家賃・管理費といった条件が重要になります。

しかし、それだけではありません。

同じ築年数、同じ家賃帯の物件であれば、「しっかり手入れされている」と感じられる物件の方が選ばれやすくなります。

そして、入居後にも適切なメンテナンスが続けば、「この物件なら安心して住み続けられる」という評価につながります。

計画修繕は、新規入居を獲得するためだけでなく、既存入居者の長期入居を促す施策としても考えていきましょう。


6.⻑期修繕計画と資金繰り

修繕資金の準備状況について、6割以上が何らかの形で積み立てを行っているというデータが紹介されました。

大規模修繕は、突然数百万円単位の資金が必要になるケースもあります。

必要になってから考えるのではなく、将来の修繕時期から逆算して準備を始めることが重要です。

修繕資金として、

・アパート向けリフォームローン

・不動産関連ローン

・資金使途の自由度が高いローン

などを活用するケースもあります。

借入には金利負担がありますが、修繕を先送りすることで建物の劣化が進めば、結果として工事費が増える可能性があります。

積立・自己資金・借入のどれを使うのかを、長期修繕計画と一緒に検討することが大切です。

世帯数ごとの積立額の例として次の金額が紹介されました。

例えば、毎月5万円を積み立てる場合、

・1年間:60万円

・5年間:300万円

・10年間:600万円

を準備できます。

まとまった修繕費を突然用意するのではなく、家賃収入がある時期から将来のために確保しておくことで、修繕時の資金負担を平準化できます。

オーナー様に「10年後には大規模修繕が必要になります」と伝えるだけでは、具体的な行動にはつながりにくくなります。

10年後に500万円が必要になると想定した場合には、「今から毎月約4.2万円を積み立てれば、10年間で約500万円を準備できます」というように、毎月の具体的な金額まで落とし込んで提案していきましょう。

将来の大きな支出を、今からできる小さな準備に変えることがポイントです。

賃貸経営で必要になる費用は、大規模修繕だけではありません。

空室損失や滞納、室内リフォーム、日常清掃なども含めて計画することで、より現実的な収支計画になります。

PM(プロパティマネジメント)では、

・空室による家賃損失

・家賃滞納

・クレーム対応

・室内リフォーム

BM(ビルディングマネジメント)では、

・日常清掃

・定期点検

・建物・設備のメンテナンス

・植栽の剪定

などの費用が発生します。

長期修繕計画では、固定資産税や毎月の管理費だけでなく、こうした見えにくいコストも含めて考えることが重要です。


7.外観写真・外壁塗装事例

外壁修繕を物件の募集力向上につなげる方法として、外観写真の重要性が共有されました。

現在は、現地を見る前にWeb上で候補に残ることが必要です。

実際の物件検索サイトでは、

・古い撮影日の入った写真

・建物が途中で切れている写真

・外観の魅力が伝わらない写真

が掲載されているケースもあります。

物件検索サイトでは、外観写真が最初に表示されることが多いため、第一印象が重要です。

Webで選ばれなければ、現地まで来てもらえません。

外壁修繕を行った際には、

・新しい外観写真を撮影する

・掲載写真を更新する

・建物全体の魅力が伝わる写真にする

ところまで一体で実施しましょう。


外壁修繕に「コンセプト+デザイン」を加える

今回の事例では、単に外壁を塗り直すだけではなく、物件ごとにコンセプトを設定し、デザインによって物件価値を高める取り組みが紹介されました。

外壁塗装のタイミングは、物件のイメージを大きく変えるチャンスです。


1979年築・RCマンション

大型のマンションに濃いグレーを採用し、重厚感のあるモダンな印象へ変更しました。

さらに、物件名を表すロゴマークを外観に配置することで、存在感のある建物へ生まれ変わっています。

1982年築・RCマンション

モノクロを中心とした落ち着いた配色に変更し、エントランス周辺にも高級感を持たせました。

1990年築・RCマンション

濃いグレーと木目を組み合わせ、ロードサイドからも物件名が見えるようデザイン。

立地特性を生かした、印象に残る外観へ仕上げました。

1994年築・RC物件

白をベースにベランダ内側へカラフルな配色を採用。

敷地内の2棟を同じコンセプトで統一し、団地全体として記憶に残る物件へ変えました。

1986年築・鉄骨物件

黒系のガルバリウムと木目調デザインを組み合わせ、築年数を感じさせにくい現代的な外観へ刷新しました。

1999年築・木造2階建て

ネイビーのツートンカラーと木目を採用し、デザイナーズ住宅を思わせる外観へ変更しました。

外壁修繕は、元の状態へ戻すだけではなく、「これから誰に選ばれる物件にするのか」まで考えることが重要です。


完成見学会を次の提案につなげる

施工後の物件をオーナー様に実際に見ていただくことで、写真や見積書だけでは伝わらない修繕効果を体感していただくことができます。

完成見学会では、

・外壁がどのように劣化していたか

・どのような施工をしたか

・どの塗料を使用したか

・修繕によってどのように印象が変わったか

を説明します。

9.まとめ

今回の共有会で最も重要なポイントは、計画修繕を「建物を直す工事」ではなく「長期的な賃貸経営を守るための投資」として考えることです。

アパート・マンションを10年、20年と保有していけば、必ず大規模修繕が必要になります。

だからこそ、

いつ修繕が必要になるのか

いくら必要になるのか

今から毎月いくら準備するのか

修繕後にどんな物件へ変えていくのか

まで、事前に計画しておくことが重要です。

計画的な準備を続けることで、賃貸経営を長く安定させ、次の世代にも安心して資産を引き継ぐことができます。

「壊れてから直す」管理ではなく、10年・20年先を見据えて先回りする管理へ。

ぜひ今回の内容を、それぞれの管理物件に置き換えて提案につなげていきましょう。


▼以下の動画で詳しく解説しています。




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