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2022.12.28

満室の窓口

大家から申し入れする立ち退きと賃貸借契約解除

アパート経営を行うと、さまざまな理由により大家さんから立ち退きをお願いしなくてはいけない場面に遭遇することがあります。

しかし、入居者に債務不履行がない場合、大家さんからの契約解除は非常にハードルが高いことをご存知でしょうか。

本記事では、大家さんからの賃貸借契約解除の決まりや流れ、立退料の相場などについて解説します。

トラブルに発展しにくい立ち退き交渉方法についても紹介しますので、アパート経営を行う方はぜひご一読ください。


賃貸経営、不動産投資


大家さんから契約解除はハードルが高い

賃貸借契約の途中解約には、大家さんと入居者双方の同意が必要とされています。 

そのため、大家さん都合の一方的な申し出には強制力がなく、入居者に重大な契約違反などがない限り、非常にハードルが高いです。 

大家さんから契約解除を申し出る場合は、最低限以下の2つの条件を満たす必要があります。 

6か月以上前に入居者へ告知 正当事由の提示 それでは、1つずつ解説していきます。


6か月以上前に入居者へ告知

普通借家契約の場合、期間満了の1年〜6か月前までの間に更新しない旨の通知をしない場合は、自動的に契約更新するものとしています。(借地借家法26条1項) 

そのため、大家さん側から契約解除を申し出る場合は、遅くても期間満了の6か月前までに入居者へ通知しなくてはいけません。


正当事由の提示

借地借家法では、入居者側が手厚く保護されているため、大家さん側からの賃貸借契約解約は正当理由がないとできないとされています。(借地借家法28条) 

「正当の事由」の内容を具体的にいうと、以下のような事情です。 

大家さんが建物を使用する事情ができた 建物の老朽化により取り壊しや建て替えが必要となった 度重なる家賃滞納や契約違反など入居者側の過失 実際に入居者を立ち退かせる場合、入居者側に重大な過失がない限り、正当事由の主張と合わせて立退料を提示して、立ち退き交渉を成立させるのが一般的です。


立ち退きの流れと相場

実際に立ち退きを行う流れと、立退料の相場について解説していきます。


立ち退きの流れ

立ち退きの流れは、以下の通りです。 

入居者へ通知 立ち退き交渉 話がまとまらない場合は専門家に相談 契約満了時の立ち退きを要請する場合、基本的に期間満了の1年〜6か月前までに通知する必要があります。 

通知を行う際には、立ち退きの理由や立退料、立ち退きの時期について明確にしておきましょう。 

その後、対面などで立ち退き交渉の場を設けるのが一般的です。 

立ち退き交渉では、立ち退き理由と立退料の根拠を丁寧に説明できるよう、準備しておく必要があります。 

また、入居者の勤務先や学区を考慮した転居先の紹介ができれば、立ち退き交渉がスムーズに進む可能性が高くなります。 

自分たちだけの交渉では話がまとまらない場合は、立ち退き交渉が得意な弁護士に相談するとよいでしょう。


立退料の相場

立退料の相場は家賃の6か月〜1年が相場などともいわれますが、実際にはケースによって異なります。

正当事由がどの程度強いのか、引越し費用や営業損失なども考慮して定められます。 

なお立ち退きにおける立退料は、必ず必要となる費用ではありません。 

ただ立退料は正当事由の補完的要因とされるケースが多いため、大家さん都合の立ち退き要請ではほとんどの場合で立退料が発生します。 

立退料を提示する際には、転居先の敷金礼金や引っ越し費用、迷惑料などを考慮して根拠を明確にするとよいでしょう。


トラブルに発展しない立ち退き交渉のポイント

立ち退き交渉は、できるだけトラブルに発展しないよう行う必要があります。 

トラブルに発展しない立ち退き交渉のポイントは、以下の通りです。 

理由を明確に提示 入居者の事情をきちんと考える 交渉内容は必ず書面に残す 自力救済は絶対にしてはいけない トラブルに発展しそうなら弁護士に相談 それでは、1つずつ解説していきます。


理由を明確に提示

立ち退き交渉では、必ず理由を明確に提示したほうがよいでしょう。 

入居者としては、これからも暮らしていこうとしている家を追い出されるわけですから、理由を知りたいのは当然です。 

立ち退きの理由を、より明確に分かりやすく誠実に説明することで、トラブルに発展する可能性は低くなります。


入居者の事情をきちんと考える

立ち退き交渉をスムーズに行うためには、入居者の事情をきちんと考えることが重要です。 

たとえ正当な理由があったとしても、入居者はこれから住む家や引っ越し費用など、さまざまな不安を抱えることとなります。 

そのため、きちんと話し合いの場を設け、入居者に寄り添い納得してもらうことが大切です。 

話し合いの場では、立退料の提示、入居者の勤務先や学区なども考慮した転居先の紹介なども行うと、入居者の同意を得られる可能性が高まります。 

また日ごろから、入居者との良好な関係を築けていれば、スムーズに交渉が進むことも珍しくないでしょう。


交渉内容は必ず書面に残す

立ち退き交渉では、必ず決定した事項を書面に残すべきです。 

書面に残さないと、後から言った言わないが原因となり、交渉が難航する可能性が出てくるからです。 

また、交渉がスムーズに進まない可能性がある場合は、ボイスレコーダーを活用するのもおすすめです。


自力救済は絶対にしてはいけない

日本では、法律に頼らず自力で解決しようとする「自力救済」が禁止されています。 

立ち退きにおける自力救済の例として、以下のような行動が挙げられます。 

賃料を滞納している住人の部屋のカギを勝手に変えて家に入れなくしてしまう 迷惑行為が多い住人の荷物を勝手に外に出す など このように、双方の同意ではなく強制的で一方的な契約解除は、いくら入居者に過失があるからといっても認められません。 自力救済行為をすると民事・刑事上の責任を問われる可能性があるため、自力救済だけは絶対にやめましょう。


トラブルに発展しそうなら弁護士に相談

入居者に立ち退きを拒否され、交渉が難航しそうな場合は、立ち退き交渉に強い弁護士へ相談するのが最適です。 

立ち退き交渉は難航すると、調停や裁判へ発展する可能性があります。 

弁護士に依頼すると費用が発生してしまいますが、自力で交渉するよりもスムーズに解決できるケースが多数です。


まとめ

今回は、大家さんからの賃貸借契約解除の決まりや流れ、立退料の相場などについて解説しました。 

借地借家法では、基本的に入居者側が保護されているため、大家さんからの立ち退き要請はどうしてもハードルが高くなりがちです。 

立ち退き交渉を行う際は、相手が納得できる説明と立退料の提示をし、誠実に寄り添うことで入居者にも思いが伝わり成功しやすくなるでしょう。 

どうしても話がまとまらない場合は、早い段階で弁護士に相談するようおすすめします。


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