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相続対策

2023.11.22

満室の窓口

相続を失敗しないための家族信託

家族信託とは、認知症などによって本人の判断能力が低下したときに、信頼できる家族や親族に財産の管理・運用等を委託する方法です。

家族信託は比較的新しい制度で、平成18年(2006年)の信託法改正により、翌年の平成19年に施行開始となりました。

家族だけでできる家族間の財産管理一つの方法として家族信託への注目が高まっています。

本記事では、家族信託とはどのような仕組みなのか、事例を交えてお伝えします。



<目次>
1.家族信託とは
2.家族信託の仕組み
3.家族信託と認知症の関係
 ー認知症に伴うお金の問題
 ー不動産・預金等の資産が事実上凍結
4.家族信託の利用事例
 ー介護費の捻出
 ーアパートの管理を子供に任せたい
 ー大規模修繕の借り入れを実現したい
5.まとめ


1.家族信託とは

家族信託とは、家族による財産管理の一つの手法です。

認知症の発症など老後に備えてあらかじめ信頼できる家族に、財産の管理や処分を任せる制度です。

財産の所有権には、管理をする権利とお金をもらう権利があります。

この権利のうち、管理する権利だけを信頼できる家族に移す(託す)というものです。

不動産の管理は信頼できる家族に任せ、家賃や売却代金はそのまま所有者が得ることができます。

家族信託には遺言機能があることも特徴で、亡くなった後のことはもちろん、生きている間のことも決めておくことができます。


2.家族信託の仕組み

家族信託は、財産の所有者が自分の財産を信頼できるご家族(受託者)へ託す仕組みとなっております。

託された方を受託者と呼び、受託者はアパートやマンションなどの管理を行います。

そこで出た利益、家賃などは委任者へいきます。

そのため、委任者は受益者ともなります。


3.家族信託と認知症の関係

家族信託が注目されている理由には、認知症の方が増加していることが大きく関係しています。

日本は、高齢者が約3割を占めており、高齢者の割合は世界でも1番です。

平均寿命も84歳と世界で1位となっております。

高齢化が進んでいる日本にとって、認知症は大きな問題となります。


ー認知症に伴うお金の問題

認知症になると困ることがいくつかあります。

まずは契約の締結ができなくなります。

それに伴い不動産の売却もできなくなってしまいます。

契約の締結ができなくなると、アパートで言えば新しく入居者を入れることができなくなり、収益も下がっていきます。

さらには銀行口座からの出金や遺言の作成もできなくなり、不自由な状況となって行きます。


ー不動産・預金等の資産が事実上凍結


認知症は、法的は意思能力がないものとされる可能性があります。

また、銀行や証券会社は認知症の予兆ありと判断すると本人の財産保護のため口座凍結を実施します。

銀行口座が凍結してしまうと、介護費が捻出できず、子世代が相続までの約10年の間、介護費を負担しないといけないケースも多々あります。


そこで家族信託を用いると、どういった状況になるのでしょうか。

以下で利用事例をご紹介します。


4.家族信託の利用事例

ー介護費の捻出

いつかは自宅を売却し、介護費に充てたいと思っている状況です。

お父様が息子様に自宅を委託します。

この場合、お父様が認知症を発症しても、息子様が自宅を売却できます。

そして、売却したお金は介護施設の入居費等に使うことができ、スムーズな運用が実現できます。


ーアパートの管理を子供に任せたい

アパートの管理を子供に任せたいというお話です。

お父様が元気なうちに息子様にアパート1棟を委託します。

そうすると、仮にお父様が認知症を発症しても、アパートの賃貸借契約や修繕などの管理や積極的な運用をご家族の手によって続けることが可能です。

収益はこれまで通り、お父様が受けることになります。


ー大規模修繕の借り入れを実現したい

状況としては、父親は先祖代々引き継いできた土地でアパートを2棟経営、 母親と長男の家族もアパートの収益で生活している。 

1棟が3年後に大規模修繕、1棟が5年後に大規模修繕を控え、借り入れが必要になる。

銀行に修繕計画を伝えたところ、融資は難しいかもしれないと回答がありました。

銀行は父親の体力の衰えと認知症のリスクを懸念しています。

父親の希望は、自分の資産を長男に任せて、大規模修繕を実現し、 その後賃貸経営を継続できるようにしたい。

長男が管理できなくなった場合には、次男に管理を任せ、 自分の判断能力が低下した場合であっても、今後の介護費、 生活費、医療費の支出を支払えるようにしておきたい。 

自分が亡くなった場合には、賃貸の収益は母親が 受け取れるようにしたいということです。

このような場合の解決方法は、父親が所有する不動産と現金の一部を信託財産として長男に預ける事で銀行からの借り入れを実現します。 

実際に父親が判断能力を喪失しても、 長男によって自由度高く財産管理が出来るようにするのです。

母親を第二受益者、次男を第二受託者とすることで、父親や長男に不測の事態が発生した時も父親の意志通りにアパート経営出来るようにします。


5.まとめ

家族信託の大きなメリットとして、自分が元気なうちに、自分の意向に沿った財産管理を家族に任せられる点が挙げられます。

 認知症対策としてよくあげられる任意後見制度では、後見人の負担と制約が多い点がデメリットとして挙げられるうえ、後見人は、本人の判断能力が衰えるまでは財産の管理はできません。

アパートの終活をスムーズに進める為にも、家族信託は必要な時代となってきております。

また、ご家族が事業継承をするのかしないのか、建物(実家)はどうするのか、をご家族でよく話し合うことが重要となってきます。


尚、今回の記事の内容は、以下のYouTube番組でさらにわかりやすくご紹介させていただいております。

参考にご覧ください。



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