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空室対策

2025.01.08

満室の窓口

「インターネット無料」物件の落とし穴

「インターネット無料」の物件は人気設備ランキングで常に上位にランクインするほど、高い人気を集めています。

入居後すぐにインターネットが利用できる手軽さは、忙しい現代人にとって大きな魅力です。

しかし、不動産オーナーにとって、このサービスを導入することにはメリットだけでなく、検討すべき課題も存在します。

今回は、インターネット無料物件が選ばれる理由や注意点、改善提案までを分かりやすく解説します。

不動産経営をより成功に導くためのヒントとして、ぜひお役立てください。


<目次>
1.インターネット無料物件が選ばれる理由
2.不動産オーナーが得られるメリットと注意点
3.インターネット無料の仕組み
 ーVDSL方式
 ー光配線方式
 ーLAN方式
4.インターネット無料とWi-Fi無料の違い
5.入居者満足度のギャップ
 ー回線速度に関する不満
 ー回線速度低下の可能性
6.「配管工事だけを事前に行う」提案
7.まとめ


1.インターネット無料物件が選ばれる理由

「インターネット無料」の物件が人気な理由の一つは、初期費用や契約手続きの手間が削減できる点です。

入居後すぐにインターネットが利用できるため、工事の手配やプロバイダー選びといった煩雑な手続きを省けることが入居者にとって大きなメリットとなっています。

また、毎月の通信費が家賃に含まれているため、固定費を抑えたい学生や単身者、若年層にとって経済的なメリットも魅力的です。

さらに、テレワークやオンライン授業、動画配信サービスの普及により、安定したインターネット環境の重要性が増していることも、「インターネット無料物件」が選ばれる理由の一つです。

他物件との差別化や空室対策としても有効であり、不動産オーナーにとっても注目すべきポイントとなっています。

しかし、入居者に満足してもらうためには、回線速度や安定性といったサービスの質を維持することも重要です。


2.不動産オーナーが得られるメリットと注意点

最大のメリットは入居率の向上です。

特に若年層や単身者から高い人気を集めるこの設備は、競合物件との差別化に繋がり、空室を減らす効果が期待できます。

また、付加価値の高い物件としてアピールすることで、若干の家賃アップが可能になるケースもあります。

その結果、入居者が安定することで家賃収入の安定化が図れます。

さらに、インターネット無料設備を導入することで、物件自体の競争力が向上し、資産価値の上昇が見込まれる点も大きなメリットです。


一方で、導入には注意すべき課題もあります。

まず、維持費用の負担です。

インターネット無料には、初期導入費用だけでなく、月々のプロバイダー料金やメンテナンス費用が必要です。

特に、入居者が多い物件では、回線のアップグレードやトラブル対応が発生し、追加コストがかかる可能性があります。

また、入居者が同時に利用することで回線速度が低下し、不満が寄せられることも考えられます。

こうした問題への対応が求められるため、回線の品質維持や設備の見直しを定期的に行う必要があります。


3.インターネット無料の仕組み

代表的な「VDSL方式」「光配線方式」「LAN方式」について、それぞれの仕組みと特徴を簡単にご紹介します。


-VDSL方式

出典:NTT西日本

VDSL方式は、建物まで引き込んだ光回線を、各部屋には既存の電話線を通してインターネットを提供する仕組みです。

電話線を利用するため、大掛かりな配線工事が不要で、比較的低コストで導入できるのが魅力です。

特に小規模な物件や古い物件で活用されることが多い方式です。

ただし、電話線を使用するため、通信速度が光回線方式に比べて遅くなりやすく、入居者が増えると回線速度が低下する可能性がある点がデメリットです。


-光配線方式

出典:NTT西日本

光配線方式は、建物から各部屋まで直接光ファイバーを配線し、インターネットを提供する方法です。

各部屋ごとに専用の回線を敷設するため、通信速度が非常に高速で安定しており、テレワークやオンラインゲームなど、安定したネット環境を求める入居者には特に魅力的です。

一方で、初期導入時の配線工事に費用がかかり、大規模物件での導入が一般的です。

高付加価値を持たせたい物件に最適な方法です。


-LAN方式

出典:NTT西日本

LAN方式は、建物内に設置したネットワーク機器を利用して、共用のインターネット回線を各部屋に提供する方法です。

配線工事のコストを抑えられるため、比較的安価に導入できます。集合住宅などで導入されることが多い方式です。

しかし、入居者が増えると回線速度が低下しやすい点がデメリットです。

また、ネットワーク設備の定期的なメンテナンスが必要になるため、運用時に追加コストが発生する場合があります。


4.インターネット無料とWi-Fi無料の違い

賃貸物件の募集サイトを見ていると、「インターネット接続可」「インターネット完備」「インターネット対応」など、インターネット利用に関連するさまざまな表記が見受けられます。

しかし、これらの表記に明確な基準や統一されたルールは存在せず、不動産管理会社やオーナー、そして入居者の間で認識が異なることも珍しくありません。

物件のインターネット環境に関して十分な説明がされない場合、入居者が「思っていた内容と違う」と感じ、入居後に不信感を抱く可能性があります。

こうしたトラブルを防ぐためには、具体的なサービス内容を詳細に説明し、双方の認識を一致させることが重要です。


「インターネット無料」とは?

「インターネット無料」という表現は、入居者が追加料金を支払わずにインターネット接続サービスを利用できることを意味します。

この場合、インターネット接続料金は家賃や共益費に含まれており、入居者が別途契約を行う必要がありません。

たとえば、オーナーが物件全体で光回線を契約し、その利用料を負担している場合などが該当します。

ただし、「無料」であるといっても、以下の点には注意が必要です。

・機器の用意は入居者負担の場合が多い

インターネットを利用するために必要なモデムやWi-Fiルーターなどの機器は、入居者が自分で購入・設置しなければならないケースがあります。

・提供範囲は限定的なことも

有線接続のみが可能で、無線LAN(Wi-Fi)環境は提供されない場合もあります。

その場合、入居者がWi-Fiを使いたい場合は自分でルーターを準備する必要があります。


「Wi-Fi無料」とは?

「Wi-Fi無料」とは、物件内で無線LAN(Wi-Fi)接続が無料で利用できる状態を指します。

これは、既に物件内にWi-Fiルーターが設置されており、入居者がそのWi-Fiネットワークに接続するだけでインターネットを利用できる仕組みです。

主な特徴としては次のような点が挙げられます。

・初期設定不要で利用可能

Wi-Fi接続に必要なネットワーク名(SSID)やパスワードが物件内で提供され、入居者は簡単に接続できます。

これらの情報は、部屋内の説明書やコンセント周辺に記載されている場合が多いです。

・共有回線の可能性

建物全体で1つのWi-Fi回線を共有していることが多いため、他の入居者の利用状況によっては通信速度が低下する場合があります。

・提供エリアに制限があることも

物件全体でWi-Fiが利用できる場合もあれば、共用部や特定の部屋内のみ利用可能といった制限があることもあります。


5.入居者満足度のギャップ

「インターネット無料」の物件は、多くの入居者にとって魅力的な設備の一つですが、実際に利用を開始してから満足度にギャップが生じるケースがあります。

その主な原因として「回線速度に関する不満」と「回線速度低下の可能性」が挙げられます。

これらの問題点について詳しく見ていきましょう。

-回線速度に関する不満

入居者が最も不満を感じやすいポイントの一つが、期待していた通信速度と実際の速度の差です。

特に、テレワークや動画視聴、オンラインゲームなど、安定した高速通信を必要とする用途では、回線速度が十分でないとストレスを感じやすくなります。

例えば、広告や説明文で「高速インターネット」と記載されていても、建物全体で回線を共有している場合、利用状況によっては速度が低下することがあります。

このような場合、入居者は「想像していた環境と違う」と感じ、不満が募る原因となります。


-回線速度低下の可能性

インターネット無料物件において、回線速度の低下は入居者の不満を引き起こす主な要因の一つです。

この問題が発生する原因として、主に以下の3つが考えられます。

1つ目は同時接続数の増加です。

複数の入居者が同時にインターネットを利用すると回線が混雑し、速度が低下することがあります。

特に夜間や週末など、多くの人がオンラインになる時間帯で顕著です。

2つ目は回線の種類や設備の問題です。

建物で採用している回線方式(例:VDSL方式やLAN方式)やネットワーク機器の性能が低い場合、十分な通信速度を提供できないことがあります。

特に古い設備や低性能のルーターやスイッチを使用している場合、回線速度の低下が起こりやすくなります。

3つ目は建物構造や環境要因です。鉄筋コンクリートの建物や厚い壁がWi-Fi信号を妨げることによって、通信速度が遅くなる場合があります。

この問題は特に無線通信において影響が大きくなります。


6.「配管工事だけを事前に行う」提案

賃貸物件におけるインターネット対応は、入居者からの要望が高まる一方で、オーナー様にとっては費用対効果の観点で慎重な判断が求められる課題となっています。

特に「インターネット無料」のサービスを提供する場合、初期費用や毎月の維持費用がオーナー様にとって大きな負担となることが多く、結果的に満足度の低いサービスが提供されてしまうケースも少なくありません。

こうした課題に対し、「配管工事だけを事前に行う」方法は、コストを抑えつつ物件の魅力を高める有効な手段として注目されています。

この方法は光回線の導入に必要な配管工事を物件建設時やリフォーム時に先行して行い、実際の回線導入やプロバイダ契約は入居者自身が負担するという仕組みです。

以下のような大きなメリットがあります。


1. オーナー様の費用負担を軽減

光回線を全面的に導入する場合、初期費用として1世帯あたり1万~2万円程度の工事費が必要となり、さらに月々5000円程度のプロバイダ料金が発生します。

必要な配管工事のみを事前に行うことで、その後の回線導入や月額費用は入居者が負担するため、オーナー様の経済的負担を大幅に軽減することが可能です。


2. 入居者に選択の自由を提供

「インターネット無料」物件では、用意された回線が低速や不安定な場合、入居者の満足度を損なう可能性があります。

しかし、配管工事だけを事前に行えば、入居者自身が回線速度やプロバイダを自由に選択でき、必要に応じた快適なインターネット環境を構築できます。

これにより、入居者の多様なニーズに柔軟に対応できます。


3. 将来的な物件価値の維持

光回線の配管工事が事前に施されている物件は、後から回線を引き込む際の工事が簡単に済むため、物件としての魅力が長期的に維持されます。

インターネット需要が高まった場合でも迅速に対応できる準備が整っており、他物件との差別化にもつながります。


4. 入居促進効果

インターネット対応が可能な物件であることは、特に若年層やリモートワークを行う入居者にとって大きなアピールポイントです。

配管工事が完了していれば、回線工事が不要なため、入居後すぐに契約可能であり、入居者にとっても利便性が向上します。


都市部では携帯電話のネット使い放題プランを利用してインターネットを代用する人も増えてきています。

この傾向から、インターネット対応を理由に家賃を上乗せすることが難しい状況も見られるようになっています。

そのため、必要以上に高品質な設備を整えるよりも、入居者に選択肢を提供しつつ、オーナー様の負担を最小限に抑える方針が合理的といえます。

一方で、地方や電波状況が悪いエリアでは、引き続き光回線の重要性が高いため、物件の地域性やターゲット層を踏まえた対応が必要となりそうです。


7.まとめ

インターネット無料物件は、入居者の利便性を高め、他物件との差別化を図る有効な方法です。

ただし、提供する仕組みや品質の管理、入居者の期待に応えるための説明が欠かせません。

設備導入には「VDSL方式」「光配線方式」「LAN方式」などの選択肢があり、それぞれ特性を理解したうえで最適な方法を選ぶことが大切です。

また、「Wi-Fi無料」との違いを正しく伝えることで、誤解やトラブルを防ぎ、信頼を築けます。

インターネット無料物件は、入居者満足度を高め、物件の価値と収益を向上させる鍵です。

適切な準備と管理で、魅力的な住環境を提供し、安定した運営を目指しましょう。


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