空室対策
外観リフォームで空室改善!賃貸物件が選ばれる物件に生まれ変わる方法
築年数の経過とともに、「空室がなかなか埋まらない」「家賃を下げないと決まらない」とお悩みの賃貸オーナー様は多いのではないでしょうか。 その対策として、室内のリノベーションを検討される方は多い一方で、意外と見落とされがちなのが建物の外観です。本記事では、外観リフォーム(ファサード改修)による空室改善の効果と、 実際に築39年のマンションが選ばれる物件へと生まれ変わった成功事例をご紹介します。
2025.10.19空室対策
2025.12.08
満室の窓口
「空室が早く決まった=成功」と思い込んでいないでしょうか。
家賃アップやリノベーションに踏み出す前に、必ず押さえておきたいのが、 今、その物件は本当に適正な賃料で募集できているのかという視点です。
空室がすぐ埋まるのは本当に良いことなのか?
家賃を下げずに決めるためには何が必要なのか?
リノベーションや設備投資が本当に効果的なのか?
こうした判断をすべて「感覚」ではなく、適正賃料という確かな基準で見極めることが、オーナー様の収益最大化へのいちばんの近道です。
まずは、いまの募集家賃が適正かどうかを一緒に確認し、“家賃を上げても選ばれる物件づくり”に向けた第一歩を踏み出していきましょう。

セミナー情報
対象:不動産投資家・賃貸経営者・管理会社担当者
テーマ:賃料アップ〜収益最大化に向けて〜
主催:満室の窓口(株式会社クラスコ)
登壇:満室の窓口 松山店(株式会社アート不動産 )
※本記事は、オンライン共有会での発表内容を整理・再構成したレポートです。
- 収益最大化の前に押さえるべき基礎

まずは賃貸経営の基本構造を整理します。
賃貸経営における収入はとてもシンプルで、家賃 × 入居率 = オーナー様の収入というたったひとつの掛け算で決まります。
もちろん、固定費などの支出も経営には影響しますが、収益を伸ばすための出発点は「家賃」と「入居率」をどう最適化するかに尽きます。
- 収益シミュレーション:家賃を維持するか?下げて満室を取るか?

分かりやすいように、まずは1部屋だけのケースから収入シミュレーションを見てみましょう。
●パターン① 家賃35,000円× 12ヶ月入居 → 年間収入:420,000円
●パターン② 家賃40,000円へ値上げ。
しかし4ヶ月空室→ 8ヶ月入居 → 年間収入:320,000円
●パターン③ 家賃50,000円へ強気の設定。
しかし1年間空室→ 年間収入:0円
この3つを比べると、家賃の設定ひとつで収入が大きく変わることが分かります。
だからこそ「最も収益が残る家賃はいくらか?」を慎重に考える必要があります。
次に、10世帯・家賃5万円のマンションをモデルケースとして、家賃と入居率の組み合わせによって収益がどれだけ変わるかを見ていきます。

縦軸:家賃
横軸:入居率(入居戸数)
理想形は「家賃5万円 × 入居率100%」の状態です。
家賃:50,000円
入居:10戸(100%) → 年間収入:600万円
管理会社としても、オーナー様としても、当然ここを目指すべきです。
しかし昨今、空室率やエリア環境の変化により、必ずしも理想通りには進まないケースが増えているのが現実です。
●家賃5万円を維持したまま、もし入居率が80%に下がった場合
家賃:50,000円
入居:8戸(80%) → 年間収入:480万円
●家賃4.5万円に下げた場合の収益
「家賃は下げたくない」という気持ちは当然ありますが、家賃4.5万円に下げたことで1部屋決まり、入居率が上がるケースを見てみましょう。
家賃45,000円 × 入居率90% → 年間収入:486万円
家賃を5,000円下げても、収入は6万円アップしています。
さらに、 家賃45,000円 × 入居率100% → 年間収入:540万円
満室になれば、家賃を下げたにも関わらず、年間収入は60万円アップする結果になります。
収益最大化の答えは、入居率× 家賃のバランスです。
もちろん目指すべきは満室ですが、現実にはエリア特性や競合状況の影響も大きく、狙うべき家賃と入居率のバランスは物件ごとに異なります。
だからこそ、入居状況・近隣競合の家賃・設備・エリアの需要・物件の強み・弱みを管理会社と共有しながら、もっとも収益が残る現実的な最適ポイントを見つけていくことが重要です。
- 家賃が決まる仕組みと「経年劣化」の考え方

先ほどの家賃45,000円などの例を踏まえて、そもそも 家賃はどのように決まるのか?という根本の話に移ります。
管理会社としては、もちろんオーナー様の「この家賃で貸したい」というご希望を尊重し、できる限りその金額で決められるよう全力を尽くします。
しかし、実際には 市場が受け入れる“適正賃料”という基準があり、家賃は次の2つのバランスで決まります。
⚫︎家賃を決める2つの要素
家賃が決まる仕組みをシンプルに表すと「物件力」と「賃料水準」のバランスで成り立っています。
この2つの釣り合いが取れた地点が、 市場に受け入れられる適正賃料になります。
つまり、物件力が高ければ家賃は上げられ、物件力が弱ければ家賃は下がる―― という、とてもシンプルな構造です。
そして、リフォームや設備改善で物件力が上がれば、家賃も連動して上げていくことが可能になります。
⚫︎年数と家賃の関係
次に、家賃と築年数の関係です。

縦軸:家賃
横軸:築年数
そして曲線は、右肩下がり。
これは 「何もしなければ家賃は下がる」 という、賃貸経営の普遍的な仕組みを表しています。
なぜ家賃は下がるのか? 理由はシンプルで、経年劣化により物件力が下がっていくためです。
退去が出るたびに現状回復のみで次の入居を迎える、設備はそのまま、デザインも古いまま、築年数は積み上がっていく、この状態を繰り返すと物件力は少しずつ確実に落ちていきます。
物件力が落ちれば、当然、家賃も落ちる。これが 賃貸市場の自然なメカニズムです。
- 賃貸経営の基本の考え方
ここまでのまとめとして、まず押さえておきたい大原則があります。
オーナー様の収入は「家賃 × 入居率」で決まる。とてもシンプルですが、賃貸経営の収益はこの2つの掛け算で決まります。
どれほど良い物件であっても、入居が決まらなければ収入はゼロです。
だからこそ、賃貸経営では次の2つの視点が必要です。
① 空室を埋める(募集)・退去を防ぐ(長期入居)
現在空いている部屋に新しい入居者を迎え入れることは当然、収益確保のための最優先事項です。
もう一つ見落とされがちなのが、「退去を防ぐ=長く住んでいただく」ことも収益に直結する という点です。
退去が発生すれば、その後すぐに次が決まったとしても、その空室期間の家賃はゼロ・原状回復費が発生・再募集の広告費も必要です。
つまり、退去は収益にとって目に見える以上に大きな損失となります。
だからこそ、賃貸経営は 「入れる」だけでなく「出さない」ことにも同じくらい力を入れる必要がある のです。
② 現状維持は「家賃アップ」と同じ意味を持つ
なぜ“変えない”ことが「上げている」になるのでしょうか?
前のパートでお伝えした通り、物件は放置すると家賃がゆっくり下がっていくのが市場の自然な流れです。
つまり、新しい設備はつけない、デザインも変わらない、ただ現状回復するだけ、こういった何もしない運営を続けると、毎年少しずつ家賃は目減りしていきます。
だからもしあなたの物件が、5年前と同じ家賃で募集できているのであれば「5年前と同じ魅力を保つための投資を行い、物件力を維持している」と言えます。
実質的に家賃を上げ続けているのと同じなのです。
家賃下落が当たり前の市場で、家賃を維持できているということは、その裏に必ず「物件力維持のための工夫」や「管理の質」がある証拠なのです。

昨今、ニュースでも頻繁に取り上げられているように、食料品・生活用品・エネルギーコストなど、あらゆる物価が上昇を続けています。
特にオーナー様の賃貸経営に直結するのは次のような費用です。
・共用部の電気代
・水道代
・ガス料金(入居者負担であっても家計を圧迫し、家賃選びに影響)
・設備維持費
これらは軒並み1.2〜1.5倍に上昇しており、オーナー様の実質的な負担は確実に増えています。
にもかかわらず、株式会社アート不動産が拠点を置く松山市の賃料推移を見ると、この15年間 家賃はほぼ完全な横ばいとなっています。

物価:右肩上がり
家賃:一直線の横ばい
という“逆行現象”が起きています。

全国平均では過去7年で103%とわずかに上昇していますが、松山市では100%=変動していません。
むしろ家賃が下がったエリアも存在するほどです。
⚫︎なぜ物価が上がっても家賃が上がらないのか?

その最大の要因は… 空室率の高さ(=入居率の低さ)
家賃を上げられるのは、どの物件もほぼ満室という状態があってこそです。
東京・神奈川など入居率が高いエリアでは、需要>供給となるため家賃が自然と上がります。
しかし松山市の場合… 平均入居率:74.97%
約4部屋に1部屋が空室という状態です。
これでは、家賃を強気に上げるという発想には到底至りません。
空室が多い市場では、 オーナー様が次のような判断を取りがちです。
「空けておくくらいなら、相場より少し安くても入れてしまおう」
「周りが下げているなら、こちらも合わせないと決まらない」
こうした個々の判断が積み重なることで、エリア全体の家賃相場まで下がり続ける負のスパイラルが起こります。
結果として、 物価だけ上がる 家賃は上がらない(むしろ下がる)オーナー様の実質手残りは減り続けるという構造が固定化してしまいます。
空室率が高い状態で家賃を上げることは、非常に大きなリスクを伴います。
例えば、10部屋中5部屋が空いている状態で家賃を一斉に上げれば…
・さらに空室が増える
・募集期間が長期化する
・収入がゼロになる期間が発生する
という悪循環になりかねません。
逆に、入居率が高い物件は家賃アップのチャンスです。
・10部屋中9部屋が埋まっている
・残り1部屋だけが空いている
こうした状態であれば、最後の1部屋で家賃アップを試すチャンスが生まれます。
成功すれば物件全体の収益が底上げされ、満室+家賃アップという最良の状態がつくれます。
- 賃料アップの鉄則!入居率と値上げのタイミング

全国の入居率データを見ると、東京や神奈川などの都市部は非常に高い入居率で推移しており、こうしたエリアでは家賃アップも比較的実現しやすい環境にあります。
一方、愛媛県の平均入居率は74.97%、言い換えると4部屋に1部屋が空室という状況です。
この数字は「家賃アップには慎重な戦略が不可欠」だということを意味します。
理由はシンプルで、空室が多い市場では家賃を上げる余地が非常に限られるからです。
⚫︎家賃アップの前提条件
たとえば、10部屋中5部屋が空いている入居率50%の物件で「物価も上がっているし、家賃も一気に5,000円上げよう」 という判断をしてしまうとどうなるか?
・決まりにくくなる
・空室期間がさらに長期化
・収益がゼロの期間が増える
・物件の競争力がさらに低下 という負の連鎖に陥る可能性が高くなります。
入居率が低い状態での家賃アップは、オーナー様にとって非常に高いリスクを伴うのです。
逆に、10部屋中9部屋が埋まった、残り1〜2部屋の状況になったという高入居率の状態を作り出せれば話は別です。
ここで初めて「最後の1部屋だけ家賃を上げてみる」という戦略が有効になります。
高い入居率には、家賃アップを支える強力な理由があります。
・残り1部屋なら競合と比較されにくい “最後のひと枠”が心理的優位性になる
・入居希望者は一定数存在する
・特別な魅力をつくれば値上げが成立する
つまり、入居率の高さはそのまま家賃アップの成功確率に直結するのです。
⚫︎家賃アップのために必要な3つの市場分析

家賃アップを成功させるには、次の3つを必ず把握する必要があります。
①顧客(誰が・いくらで探しているか)
学生が多いのか?単身社会人か、カップルか?
その層はどの価格帯で探すのか?
顧客の特徴を知らずに家賃を上げることは“勘の経営”です。
②自分の物件(設備・状態・立地・価値は相場と比べてどうか)
物件力は価格に見合うか?
設備が古くないか?デザイン面で他物件より優れているか?
家賃アップには、必ず理由が必要です。
③競合物件(周囲がどんな条件で募集しているか)
実はこれが最も実践的で、効果的な視点です。
「ずっと空いていた競合物件が、気付くと満室になっていた」 こんな経験はありませんか?
その裏では、
・家具家電を導入した
・無料インターネットをつけた
・初期費用プランを改善した
・室内リフォームを行った
など“何かしらのアップデート”が行われていることが多いのです。
自分の物件だけがなかなか決まらない・競合が急に埋まったときは必ず理由があります。
遠慮なく管理会社へご相談ください。市場の変化をキャッチすることが、家賃アップ成功の第一歩になります。
▼以下の動画で詳しく解説しています。

まず家賃アップを検討する際に欠かせないのが「今の物件の家賃は市場に対して適正と言えるのか」を確認することです。
私たちが考える良い物件とは、適正な賃料・適正な設備で入居募集ができている物件を指します。
具体的には、閑散期(4〜12月)で3ヶ月に1部屋決まる物件を、良い物件として判断しています。
※繁忙期(1〜3月)は除外。
このスピード感で動いていれば、設備・家賃設定・募集条件が市場としっかり噛み合っている状態と言えます。
一方で、オーナー様からは「3ヶ月も空くの?」と驚かれることもあります。
「もっと早く決めてほしい」というご意見も当然あると思います。
しかし、3ヶ月で1部屋という基準には理由があります。
例えば、1ヶ月で5部屋も一気に決まるようなケースがあったとします。
これは一見非常に良いことのように見えますが、背景に考えられる理由は2つです。
1つ目は、管理会社が相当の力を入れて紹介し、徹底的に営業活動を行ったために短期間で決まったケース。これは良い側面です。
2つ目は、家賃が相場より安すぎたのではないか?という点です。
本来の相場が35,000円であるエリアにもかかわらず、32,000〜33,000円のように低い家賃で募集していた場合、当然決まりやすくなります。
その結果として「1ヶ月で5部屋決まった」という状況が生まれるわけですが、これは“短期間で決まって助かった”という見方だけではなく、安くしすぎていた可能性も疑う必要があります。
収益最大化を考えるなら、入居が決まる範囲で、できる限り高い家賃で満室にすることが最も重要です。
そのため、相場より低い家賃でスピード成約した場合、本当に収益最大化につながっていたのか?という点に疑問が残ります。
一方で、成約が遅すぎるケースも大きな問題です。
半年経っても決まらないという状況は、収益にとって最悪の状態と言えます。
ここでも原因として考えられるのは次の2つです。
・管理会社が十分に動けておらず、決め切れていない
・相場に対して家賃が高すぎる
つまり閑散期において、早すぎる成約・遅すぎる成約、このどちらかに当てはまる場合は、何かしらの“ズレ”が起きているサインです。
主なズレは、家賃設定・設備・募集条件のバランスで起こります。
こうしたズレが発生している時は、募集条件の見直しが必要であると判断できます。
家賃を上げる前に、まずは相場との整合性・設備の水準・募集条件の適正さを再確認することが、収益最大化への第一歩です。

先ほどお伝えした通り、3ヶ月で1部屋決まる=適正な物件という状態が整っている前提で、ここからさらに家賃を上げていく場合、どのような手法があるのかを解説します。
一般的に、家賃アップの方法は大きく6つに分けられます。
(1)室内リフォーム(リノベーション・Renotta)
1つ目は、室内の大幅リフォーム・リノベーションです。
Renottaのようなデザイン性を高めたリノベーションも含みます。
・古い内装を刷新
・使い勝手を改善
・デザイン性を向上
これらは確実に家賃アップにつながります。
(2)募集条件の変更(SW0プランなど)
2つ目は、募集条件そのものを変える方法です。
アート不動産の独自プランである「SW0(エスダブルゼロ)」を導入することで、入居者の初期費用を大きく下げつつ、月額家賃をアップさせることができます。
このプランについては、後ほど詳しく説明します。
(3)賃料見直し(相場との比較)
3つ目は、競合物件や相場を調べて賃料を見直す方法です。
「相場より安かったので、何もせずに家賃を上げられる」
「逆に高すぎるため、下げる必要がある」というように、相場次第で上げ下げの調整が発生します。
(4)物件の差別化(ペット可・家具家電付等)
4つ目は、物件のオンリーワン化=差別化です。
例としては、
・ペット可物件への転換(ペット需要が高いエリアで特に有効)
・家具家電付きプランの導入 例:家具3点で+2,000円、5点で+3,000円
など 他物件との差別化によって、自然と家賃アップにつながります。
(5)共用部の設備投資(オートロック・宅配ボックスなど)
5つ目は、共用部への設備投資です。
・オートロックの後付け(最近はサブスクで導入可能)
・宅配ボックスの設置
・共用部インターネット設備の改善
これらは共益費アップや家賃アップに直結しやすい施策です。
(6)室内設備の標準化+追加整備
6つ目は、室内設備の充実です。
入居者がポータルサイトで検索する際、チェックボックスで必ず選ばれる設備は以下のようなものです。
・室内洗濯機置き場
・無料インターネット
・温水洗浄便座(ウォシュレット)
まずは、これら標準設備が揃っていることが最低条件です。
そのうえで、リフォームやリノベーションを加えることで、さらに家賃アップの幅を広げることができます。
⚫︎費用対効果と難易度の分析

ここからは、先ほど紹介した6つの家賃アップ手法を「費用対効果」と「難易度(リスク)」の観点から整理していきます。
まず、1番右上に位置するのが「リノッタ(リノベーション)」です。
これは大規模リノベーションに該当し、入居率アップ・家賃アップともに非常に高い効果が期待できます。
ただし当然ながら、リノベーションにはまとまった費用が必要になります。
そのため、投資額に対して効果が見合うかどうかをしっかり検証しながら進めることが重要です。
次に2番として位置付けられるのが、アート不動産独自のSW0プランです。
・費用負担は比較的少ない
・家賃アップの効果は大きい
・実績も非常に良好
難易度も高くなく、オーナー様に喜ばれるケースが多い手法です。
3番目は、相場をしっかり調べ適正賃料を設定することです。
競合物件と比較するだけなので難易度は低く、設備投資なしで家賃アップが可能になるケースも多いです。
ただし、相場よりすでに高く設定されている場合は「家賃ダウン提案」が必要になる可能性もあります。
その際は、設備投資を組み合わせたり、条件変更で改善策を提示することがポイントです。
4番目は、ペット可・家具家電などによる差別化戦略です。
オートロックやペット化など、内容によって費用は幅広く、成果は比較的出やすいです。
ニーズが変化しやすいのでエリア分析が重要です。費用と効果のバランスを見極める力も必要となります。
5・6番は、家賃アップというより「何もしないこと」のリスクが中心になります。
現状回復のみの場合、家賃は年1〜1.5%下がっていきます。
幽霊物件とは、相場から大きく外れ、ポータルサイトの条件検索で“ヒットすらしない物件”のことです。
相場3万円の1Kをオーナー希望で5万円にしてしまうと、検索に引っかからず、存在していないのと同じ状態になります。
こうした見えない空室を生まないよう、最低限、現状維持できるレベルの設備投資を行うことが必要です。
以上が、手法別の費用対効果 × 難易度の整理になります。
ここで特に重要なのは、なんとなくの施策ではなく、データと収支に基づいた手法を選ぶことです。
オーナー様の収益を最大化するために、どの手法を選ぶべきか・どれを組み合わせるべきかを明確にしてから取り組むことが成功の鍵となります。
-【注目】家賃3,000円UP!初期費用0円「SW0プラン」の仕組み
ここからは、家賃アップ施策の中でも特に効果が高いSW0(エスダブルゼロ)プランについて、仕組みと収支の考え方を詳しく解説します。
SW0は「募集条件の変更」によって家賃を上げる方法で、費用も少なく、即効性のある施策として多くのオーナー様に導入いただいています。
まず、通常プランとSW0プランを比較していきます。
例として、家賃5万円のお部屋を想定します。

《通常プラン(敷金・礼金あり)》
入居者が支払う初期費用は、合計すると約31.4万円(家賃の6ヶ月分)が必要になります。
これは、今の入居者層にはかなり重い負担です。
(SW0プランの初期費用)
一方の SW0プランでは、入居者の負担が大幅に軽減されます。
入居者が支払うのは 鍵交換代+保険料の約3.7万円(4万円以下) のみ。
つまり、「30万円→4万円以下」まで初期費用を削減できるため、入居者の行動を後押しする強力なプランです。
最近の傾向として、年収が想像以上に低い・貯金がほとんどない・引っ越したいが30万円の初期費用が払えないという入居希望者が非常に増えています。
そんな中 「初期費用4万円で入れるなら、引っ越しできる」という選択肢は、非常に大きな魅力となります。
入居者が支払わない部分、つまり“本来は入居者負担である費用”をどう処理するのか?
その答えが、オーナー様が一時立替し、家賃アップ分で回収する仕組みにあります。
SW0では、家賃を月額3,000円アップして募集します。
通常:50,000円→SW0:53,000円(+3,000円)
この月額3,000円アップ分で、オーナー様が立て替えた費用を回収します。

オーナー様が一時的に負担するものは以下の2つです。
①保証会社の初回保証料
②仲介手数料相当額
金額にすると、 保証料:28,150円 仲介手数料相当:58,300円 → 合計 86,450円
立替86,450円 を家賃アップ3,000円×毎月で回収すると、約29ヶ月(2年5ヶ月)で回収完了。
平均入居期間は約4年のため、
2年5ヶ月:立替分の回収期間
残り約1年7ヶ月:3,000円分がまるまる利益となり、最終的にオーナー様の収益は確実にプラスへ転じます。
オーナー様が必ず心配される点として「もし1年で退去したら?立替分回収前に出て行かれたら損では?」 という声があります。
その対策として、SW0プランでは、 2年未満退去の場合は違約金2ヶ月分を設定できます。
家賃53,000円 × 2ヶ月 = 106,000円 → 立て替えた約86,000円は十分に回収可能。
短期退去リスクも担保できる仕組みになっています。
初回は確かに負担が発生しますが、平均入居期間4年で見れば、十分にプラスになります。
毎月3,000円アップがずっと続くため、長く住むほど収益が増えます。
入居促進効果が非常に高く、空室期間の短縮にも貢献します。つまりSW0は「初期費用を爆下げしたい入居者」と「家賃を上げたいオーナー様」の利害を一致させるプランです。
-賃料見直し(競合物件と相場賃料査定の調べ方)

ここからは、家賃アップの中でも最も取り組みやすく、即効性も高い賃料の見直しについて解説します。
特に繁忙期前には効果が出やすくまず手をつけるべき施策としておすすめです。
これまで、家賃の見直しや空室対策として「家賃を2,000円下げましょう」「学生エリアなので、フリーレント2〜3ヶ月ください」 といった交渉を行うことが一般的でした。
しかし、これらの判断はどうしても経験や感覚に依存しがちでした。
現在は、入居者ニーズが多様化し、なんとなくの値引きではオーナー様の収益を守れません。
だからこそ、近隣相場を正確に把握し、データに基づいた家賃提案を行うことが必須になっています。

アート不動産では、AIによる賃料査定を活用し、ビッグデータから適正家賃を算出しています。
AI査定は、築年数・間取り・設備・近隣相場・供給状況(間取りの構成比など)といった客観データを元に精度の高い家賃を算出します。
ただしAIには限界もあります。
たとえば、天井が高い・開放感がある・日当たりが非常に良い・眺望が良いといったプラス要素は、AIでは評価されないことが多いのです。
そのため、 AI査定で基準値を作ること、物件担当者が現場目線で加点・補正する、この組み合わせでより正確な適正賃料を導き出しています。


⚫︎事例紹介:追加投資なしで家賃3,000円アップを実現
ここで、実際にあった事例を1つご紹介します。
ある管理外物件のオーナー様から「いま募集している家賃は適正なのか?」 とご相談を受けました。

募集条件は 家賃35,000円+共益費5,000円=合計40,000円。
しかしAI査定と設備チェックの結果、近隣相場は43,000円で、設備も十分に相場並み であることが判明しました。
つまり、追加投資ゼロで家賃を+3,000円できる余地があったということです。
「決まらないから値下げ」「とりあえずフリーレント」という“その場しのぎの施策”に走る前に、まずは適正賃料をデータで確認することが、収益最大化の近道である という好例と言えます。
⚫︎事例紹介:エリア特性を攻略せよ!提携事例紹介
次に、賃料設定だけでなく「どの会社がそのエリアを得意としているか」によっても、成約率が大きく変わるという例を挙げます。
どの不動産会社にも、得意エリア・不得意エリアがあります。
得意エリアであれば「相場は3万円ですが+1,000〜2,000円で募集できます」というケースもあります。
逆に不得意なエリアでは「申し訳ありませんが査定通りの家賃でお願いします…」 となることもあります。
さらに、同じエリアで自社管理物件の数が多いほど、紹介しやすくなり成約率も高まります。
例: 管理物件が5つ → 成約確率は1/5
管理物件が2つ → 成約確率は1/2
紹介チャンスが増える=決まりやすくなる、という構造です。

松山市の学生エリアでは、学生の部屋探しの約50%が大学生活協同組合経由という特異な市場構造があります。
残り50%を、民間不動産会社で取り合っている状態です。
ここに着目し、大学生活協同組合と提携 → 学生の50%に直接アクセスできる体制を構築しました、
また、 11〜3月は大学生協との連携で入居促進、それ以外の月は独自集客でカバーするという二軸の運用で、学生エリアの入居率を大幅に改善しています。
物件の収益性は、賃料設定・設備・条件に加えて「どの会社に預けているか」「その会社が得意とするエリアか」 によっても大きく変わります。
オーナー様にとっては、管理会社の得意エリア・提携先の強さまで含めて把握することが、家賃アップ&空室改善の鍵となります。
▼以下の動画で詳しく解説しています。
家賃アップを成功させるには、まず現在の家賃・設備・募集条件が市場とズレていないかを正確に確認することが最重要です。
適正な状態が整ったうえで、リノベーション、SW0プラン、相場見直し、差別化、設備改善などの施策を組み合わせることで、収益性は大きく高まります。
さらに、管理会社の得意エリアや提携力によって成約率も変わるため「どの会社に預けるか」も重要な判断軸となります。
感覚ではなくデータと戦略に基づいて取り組むことが、家賃アップと安定経営への最短ルートです。
「今の家賃は適正か?」「どの方法が最も効果的か?」
まずはここから一緒に見直し、物件の価値と収益を最大化していきましょう。
今回は、株式会社アート不動産 荒木様に貴重なお話を伺いました。
本記事の内容は、YouTube動画でもわかりやすくご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。
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空室対策
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2025.10.19空室対策
実践的アプローチで資産価値の最大化を実現
少子高齢化の進行や新築供給の増加により、賃貸市場は大きな転換期を迎えています。これまでのように「立地と築年数だけ」で入居者を獲得できる時代は終わり、競争はますます激化しています。今回は、賃貸市場の現状から入居者の変化、具体的な改善事例までを整理し、これからの賃貸経営に必要な戦略をお伝えします。
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【空室対策×家賃アップ】選ばれる物件の成功事例と実践ノウハウ
空室率の増加が続く賃貸市場で、「賃料を上げても選ばれる物件」にするにはどうすればよいのでしょうか? 本記事では、不動産オーナー向けセミナーの内容をもとに、最新の空室対策、賃料アップの考え方、そして収益改善の具体的な成功事例を紹介します。
2025.06.18空室対策
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不動産経営において「家賃の設定」は、最も重要な要素の一つです。 今回は、“経営の根幹”ともいえる家賃の「適正な決め方」と「見直すべきタイミング」について、実践的なポイントを解説します。
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