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不動産投資

2018.05.31

満室の窓口

平成30年度税制改正・不動産関連のポイントまとめ

何が変わる?知っておきたい税制改正のポイント

2017年12月14日、与党より平成30年度の税制改正大綱が発表されました。今回の大きなポイントは所得課税の見直しにあり、基礎控除の引き上げや給与所得控除、公的年金控除の制限など、高所得の会社員にとって負担が重くなる内容と報じられています。しかしそれだけではなく、不動産投資を行う個人事業主なども増税となる可能性があります。


一方で、不動産市場の活性化を図る特例措置の延長や新規措置もあり、これらの動向を注視して賢く対応していかねばなりません。そこで今回は、平成30年度税制改正大綱の不動産関連項目について解説します。


不動産関連の内容を総まとめ!

まず不動産取得税についてですが、宅地や建物を取得した場合の課税標準を半分にする特例が平成33年3月31日まで延長されることになりました。住宅や土地を取得した場合の標準税率を本来の4%から3%に引き下げる特例も同日まで延長されます。また土地を取得した後に、一定の条件を満たす住宅を新築した場合の土地床面積2倍相当額の減額について、住宅新築までの年数を3年とする要件緩和の措置は平成32年3月31日まで延長されています。


新耐震基準に適合しない古い既存住宅を購入し、入居前に新耐震基準に適合するよう改修を施した場合、その住宅の土地について、住宅と同様の不動産取得税軽減措置が平成32年3月31日まで適用できるようにもなっています。空き家の有効活用などを進めることが目的です。


次に固定資産税関連で、マイホームなど新築住宅を建設した場合、一般住宅は3年間、中高層マンションでは5年間、固定資産税が2分の1となる減額措置が現行のまま平成32年3月31日まで延長されました。耐震やバリアフリー、省エネ化を図るリフォームを実施した場合の固定資産税減額措置も同日まで延長されます。耐震改修は1年間固定資産税が2分の1に、バリアフリーや省エネを目的とする改修ならば1年間3分の1に軽減されます。ただしこちらは床面積上限が280平方メートルで、賃貸住宅には適用されません。


新たに建設する住宅が認定長期優良住宅に該当する場合、登録免許税、不動産取得税、固定資産税の優遇が現行のまま平成32年3月31日まで利用できます。認定低炭素住宅ならば、所有権保存登記の軽減措置がやはり同日まで延長され、引き続き適用できることも明らかにされました。


より無理のない負担で安心・安全な住まいが確保できるよう改善する措置として、マイホームの買換え・売却にかかる特例の延長・見直しも行われています。具体的には、マイホームを買換えた際に収める譲渡所得税のうち、買換えに充てた金額まで納税を将来へ繰り延べられる特例が2年間延長されます。ただし、買換え対象の住宅が中古住宅で耐火建築物以外の場合、築25年以内のもの、または耐震基準を満たしたものでなければなりません。


マイホームの買換えで発生した譲渡損失や売却で生じた損失を、他の所得と通算・繰越控除できる特例も2年間延長され、平成31年12月31日まで利用できるようになりました。買換えの場合は新規取得のマイホームで住宅ローンがあることなどが、売却ではその住宅にかかるローン残高を売却金額が下回ることなどが条件となっています。


深刻化する空き家問題への対策として、新規に土地の相続登記でかかる登録免許税が免税となることも決まりました。空き家問題の背景には、土地を相続しながら登記変更が行われず、長年放置されていることなどがあるため、これの改善を促進させます。


土地を相続した人が、相続未登記のまま亡くなった場合に、その人の相続人が亡くなった人を登記名義人とする過去の相続登記手続きを行う際、必要になる登録免許税が平成30年4月1日~平成33年3月31日まで免除されます。また市街化区域以外の土地で、登記時の土地評価額が10万円以下の場合、登録免許税が免税となることも明記され、土地の価額が低いために手続きが避けられる現状を改善するよう、試みることとなりました。


相続での小規模宅地などにおける特例は要件を厳格化へ

相続関連での変化も多くありました。小規模宅地などへの特例として、自宅の土地は相続税評価額を330平方メートルまで80%減額、賃貸住宅などの土地は200平方メートルまで50%減額、事業用土地も400平方メートルまで80%減額されるというものがあり、一定の要件を満たせば適用できましたが、今回、自宅と賃貸住宅用土地で、求められる条件が厳しくなっています。


自宅に関しては、通常その宅地を取得する相続人が配偶者または同居親族の場合に限られますが、独立した子どもなど非同居の親族でも相続開始前3年以内に、賃貸住宅居住となっていれば相続税の評価額を下げるこの特例が適用できるようになっていました。


しかし、これを不正に適用する目的で、独立した子どもが持家をあらかじめさらに自分の相続人へと生前贈与し、登記上のみ持家なしと見せかけるケースなどが増えてきたため、改正によって相続開始前3年以内に3親等内の親族などが所有する家に居住したことがある人や、相続開始時に過去、持家を所有していたことがある人の場合は適用できないようにするとされています。


また賃貸住宅の土地要件については、貸付事業を引き継ぎやすくする目的の特例であることから、本来は現金での相続になるところを、一時的に不動産の一棟買いなどで特例の対象となるようにし、相続後すぐ売却して大きな節税効果を狙うといった利用を防ぐべく、3年以内の場合は不可とする条件が付けられました。


仮に本来の賃貸経営で事業承継となる場合でも、開始後3年以内に相続が発生した土地には特例を適用できなくなります。3年以上前から賃貸経営を行っており、建て替えや新築があっただけという場合は問題ありませんが、平成30年4月1日以後の経営開始貸付事業用地では、相続の特例が利用できなくなる可能性があり、注意が必要です。


これらは要件が厳格化されたケースですが、逆に緩和されたものもあり、被相続人が介護施設などに入所したことで居住しなくなっていた自宅については、被相続人が居住していたとみなして特例の対象に含むと改められています。


相続対策で不動産投資、土地活用を考える場合、受ける可能性のある変化が多くなっていますから、細かくチェックし、より計画的に考え進めていく必要があるといえるでしょう。


その他変更点について

この他にも、低未利用土地が都市内にランダムで生じる「都市のスポンジ化」対策として、都市再生推進法人が管理する道路や広場などの固定資産税などにおける軽減措置、同法人らに低未利用土地を譲渡した場合の長期譲渡所得にかかる所得税や法人税、個人住民税などの軽減、取得された土地における流通税や登録免許税、不動産取得税の軽減といった措置が新しく設けられています。


また、都市農地を適切に保全するため、一定の条件を満たした生産緑地では相続税や固定資産税などの納税を猶予するとしたほか、田園住居地域内の農地で300平方メートルを超える部分について、固定資産税など課税評価額を半分に軽減する特例措置と、相続税贈与税などの納税猶予を行うことも示されました。


不動産市場の活性化策としては、不動産譲渡にかかる契約書印紙税の軽減措置が、現行のまま平成32年3月31日まで延長されることも挙げられています。


いかがでしたか。主な不動産関連のポイントをピックアップしてきましたが、高所得の不動産オーナーにとっては、基礎控除の減額や公的年金などの控除額における引き下げもなされる可能性があり、増税となる見通しです。


あわせて消費税率は平成31年10月1日に10%へと引き上げられる予定ですから、新規の賃貸住宅建築や大規模リフォーム・修繕を計画している場合は、これを見据えた早めの対応がポイントとなるでしょう。


もちろんこれらは現時点での公開情報ですから、今後の審議で内容が変化する可能性はあります。2018年3月末頃の国会成立が予定されますから、動向に注意しておきましょう。


(画像は写真素材 足成より)

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