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不動産投資

2025.06.25

満室の窓口

高利回り物件は本当に得か?利回り10%超の落とし穴と選び方

「利回り10%超え」の不動産は一見すると高収益のチャンスですが、裏には意外な落とし穴があります。

本記事では、不動産オーナーや投資を検討している方に向けて、高利回り物件の魅力とリスク、そして失敗しない選び方を分かりやすく解説します。



<目次>
1.高利回り物件とは?
2.利回り10%超の物件に多いパターン
3.表面利回りと実質利回りの違い
4.高利回り物件に潜む4つのリスク
 ー空室リスクが高い立地
 ー建物の老朽化・修繕コスト
 ー管理負担やコスト増
 ー入居者トラブルや家賃滞納
5.安全な高利回り物件の選び方
 ー「キャッシュフロー」と「バッファー」の考え方
 ーシミュレーションと現地調査の重要性
 ーエリア選定・建物構造・管理体制の見極め方
6.高利回り物件を活かす戦略
7.まとめ


1.高利回り物件とは?

「高利回り物件」とは、一般的に表面利回りが8%~10%以上の物件を指します。

表面利回りとは、「年間家賃収入を物件購入価格で割った単純な収益率」のことで、物件の投資効率を比較する際によく使われる指標です。

最近では、「利回り10%超え!」といったインパクトのある広告文句で訴求する不動産も多く見られます。

こうした物件は、高収益が期待できる“掘り出し物”のように見えるため、特に不動産投資を始めたばかりの個人オーナーや、副業で収益を得たいと考えるサラリーマン投資家の関心を集めています。

しかし、利回りが高く見える背景にはエリアの空室率の高さや建物の老朽化など、何らかの理由がある場合が多いため、数字が魅力的だからといって飛びついてしまうと、後々「こんなはずじゃなかった」というリスクに直面する可能性もあります。


2.利回り10%超の物件に多いパターン

利回り10%を超える高利回り物件は、不動産投資家にとって一見非常に魅力的に映ります。

年間家賃収入が物件価格の10%以上になるというのは、単純計算でも10年で元本回収ができるという理屈だからです。

しかし、こうした物件には共通した特徴や傾向があります。


▪地方都市や過疎地域に立地

高利回り物件の多くは、大都市圏ではなく地方都市や人口減少が進むエリアに集中しています。

地価が安く、物件の購入価格が抑えられるため、表面利回りが高く見えるのです。ただし、こうした地域は入居需要が安定しないリスクもあります。


▪築年数が古い(築30年以上)

築30年〜40年超の築古アパートやマンションも、利回りが高くなる傾向があります。

新築や築浅物件に比べて価格が大幅に下がっている一方で、家賃がある程度維持されていれば、利回りが自然と高く見える構造です。

しかし、修繕費用や設備更新の負担は避けて通れません。


▪ 訳あり物件(再建築不可・狭小・傾斜地など)

「再建築不可」「道路付けが悪い」「極端に狭い土地」など、流通性や将来の資産価値に不安がある“訳あり物件”も高利回りに設定されやすいです。

購入時の価格は魅力的でも、出口(売却)のハードルが高くなる可能性があります。


こうした特徴を持つ高利回り物件は、ハイリスク・ハイリターンの傾向が強いため、数字だけを見て判断するのではなく、その裏にある理由や市場背景を十分に把握することが大切です。


3.表面利回りと実質利回りの違い

高利回り物件の広告でよく目にするのが、「表面利回り10%超え!」といった表現です。

しかし、不動産投資において最も重要なのは、表面利回りではなく“実質利回り”です。

見た目の数字に惑わされず、収益の本質を見極めるためには、これら2つの利回りの違いを正しく理解しておく必要があります。


▪表面利回りとは?

表面利回り(グロス利回り)とは、物件の価格に対する年間家賃収入の割合を示す、非常にシンプルな指標です。

計算式:

表面利回り(%)=(年間家賃収入 ÷ 購入価格)× 100

たとえば、購入価格1,000万円・年間家賃120万円の物件であれば、表面利回りは12%になります。

しかしこの計算式には、運用にかかるコストや空室リスクなどは一切考慮されていません。

そのため、表面利回りだけで「儲かる」と判断するのは非常に危険です。


▪実質利回りとは?

実質利回り(ネット利回り)は、経費や空室率などを差し引いた“手残りの収益”を基にしたリアルな指標です。

計算式:

実質利回り(%)=(年間家賃収入 − 年間経費) ÷(購入価格+諸経費)× 100

ここで言う「年間経費」には以下が含まれます。

・管理費・修繕費

・固定資産税・都市計画税

・保険料(火災・地震)

・空室による家賃損失

・設備更新費(給湯器・エアコンなど)

仮に年間家賃収入120万円でも、年間経費が40万円かかれば、手残りは80万円です。

さらに、登記費用や仲介手数料などの諸費用100万円が別途かかったとすると、購入総額は1,100万円。

この場合、実質利回りは約7.3%となり、表面利回り12%とは大きな差があることが分かります。



不動産広告における表面利回りは、しばしば「最高家賃で満室運用が継続した場合」の想定で算出されています。

しかし、実際には、以下のような状況が発生することが珍しくありません。

・空室期間が発生する

・賃料を下げないと入居者が決まらない

・修繕や清掃で予期せぬコストが発生する

そのため、物件の“真の収益性”を測るには、必ず実質利回りでの判断が必要です。

信頼できる不動産会社であれば、実質利回りのシミュレーションを提示してくれる場合もあります。


地域や物件にもよりますが、経験豊富な不動産投資家の間では、実質利回りが5〜7%程度あれば“堅実な投資”とされる傾向にあります。

数字の見かけの大きさではなく、将来を見据えた安定運用を重視するのが、成功する不動産投資の基本です。


4.高利回り物件に潜む4つのリスク

利回り10%超の物件は、数字だけ見れば非常に魅力的ですが、そこには“見えないコスト”や“継続的な収益悪化”のリスクが潜んでいる場合があります。

以下では、高利回り物件で特に注意すべき4つの代表的なリスクを紹介します。


ー空室リスクが高い立地

高利回り物件の多くは、人口が減少している地方都市や郊外エリアに集中しています。

このようなエリアでは入居者需要が不安定で、長期空室や家賃値下げのリスクが高まる傾向があります。

たとえば、学生向けアパートが多い地域で近隣の大学が定員削減した場合、一気に空室率が上がることも。

利回りが高くても、入居者がいなければ収入ゼロとなります。


ー建物の老朽化・修繕コスト

築年数が30年以上の築古物件は、購入価格が安く利回りが高くなりがちですが、その分、修繕・改修費用がかさむ可能性が非常に高いです。

屋根・外壁・配管など、目に見えない部分の劣化は後から数百万円単位で修繕費が発生することも!


ー管理負担やコスト増

高利回り物件は、「自主管理が前提」または「対応の悪い管理会社に頼らざるを得ない」ケースも多く、管理業務にかかる時間や手間が予想以上に大きくなることがあります。

特に、遠方物件ではトラブル対応や入退去の立ち合いが難しくなり、対応の遅れが入居率の低下や家賃滞納につながるリスクもあります。


ー入居者トラブルや家賃滞納

利回りが高い物件では、低所得者や高齢者、外国人労働者など家賃滞納リスクが高い層が入居する割合が増える傾向があります。

トラブルや退去対応、未回収家賃の処理など、オーナーの負担が増大する可能性があります。

また、近隣との騒音問題やマナー違反があると、他の入居者の退去にもつながり、全体の稼働率低下という悪循環に陥ることも。


5.安全な高利回り物件の選び方

高利回り物件に投資する際、重要なのは「リスクを最小限に抑えながら、安定的に収益を確保すること」です。

表面的な数字だけでなく、物件の実態や将来の運用計画を冷静に見極める力が求められます。

ここでは、比較的安全に運用できる高利回り物件を見極めるための3つの視点を紹介します。


ー「キャッシュフロー」と「バッファー」の考え方

まず押さえておきたいのは、表面利回りではなく「月々のキャッシュフロー(手残り)」を重視することです。

たとえ利回りが10%あっても、管理費や修繕費、税金などのランニングコストを引いた後に手元に残る金額が少なければ、実質的な収益性は低くなります。

また、忘れてはならないのが“バッファー(余裕資金)”の設定です。

急な空室や突発的な修繕が発生しても対応できるように、家賃の2〜3ヶ月分を目安にバッファー(余裕資金)を確保しておく投資家も多く、想定外の出費でキャッシュフローが一気に赤字になる事態を防ぐことができます。


ーシミュレーションと現地調査の重要性

物件の収支計画は、必ず詳細なシミュレーションを作成して確認するべきです。

Excelなどを活用し、家賃収入だけでなく、経費・修繕費・空室率・税金などの項目もすべて盛り込んで、最低でも5年先までの収支計画を想定しておくのが理想です。

また、物件情報や収支試算だけでは分からないリスクを把握するためには、現地調査が非常に重要です。

インターネットや写真だけでは気づけない点(隣の空き家の荒れ具合、近隣住民の雰囲気、夜間の治安など)は、実際に足を運ぶことでしか見えてきません。


ーエリア選定・建物構造・管理体制の見極め方

安定した入居を確保するには、「どんな人が住む可能性があるか」を考えた上で、需要のある立地を選ぶことがカギになります。

コンビニやスーパー、病院、駅まで徒歩圏内にあるかどうか、周辺に工場や大学、病院などがあれば、賃貸需要が見込める可能性が高くなります。

建物構造についても、木造よりも耐久性・防音性の高い鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)のほうが安心感があります。

築年数が古い場合でも、耐震基準を満たしているかどうか、配管や電気設備の更新状況もチェックポイントです。

最後に、物件の価値を保つ上で重要なのが「管理体制」です。

信頼できる管理会社が入っているか、あるいは自主管理をする場合は緊急時の対応体制が整っているかを確認しましょう。

管理会社の実績やクチコミ、対応スピード、家賃回収体制なども事前に比較検討することをおすすめします。


6.高利回り物件を活かす戦略

高利回り物件にはリスクがある一方で、それを理解し適切にコントロールできれば、短期的な収益性を高めたり、投資全体の効率を向上させたりすることも可能です。

以下では、高利回り物件を戦略的に活用する2つの方法を紹介します。


▪️短期で利益を確保する手法

高利回り物件は、運用期間を「短期」と割り切ることで、リスクを最小限にしながらリターンを得る使い方ができます。

具体的には、

・相場より安く購入(訳あり、築古、空室など)

・リノベーションやクリーニングを実施

・賃料アップ or 高稼働化を目指して運用

・2~5年後を目安に売却 exit(キャピタルゲイン)

この方法では、物件のバリューアップ(価値向上)によって、購入時よりも高い価格で売却する“出口戦略”を重視します。

キャッシュフローよりもトータルリターンを狙いたい投資家にとっては効果的です。

ただし、出口戦略を実行するには、物件の立地や構造に再販性があるかどうか、リフォーム後の相場と需要が成立するかの事前調査が必要です。


▪️リスク分散型ポートフォリオの構築

高利回り物件を「ポートフォリオの一部」として活用する戦略も有効です。

リスクの高い物件と安定性の高い物件を組み合わせることで、全体のバランスを取るという考え方です。

例:都心の築浅RCマンション(利回り5〜6%・安定運用)

地方の築古木造アパート(利回り11〜13%・高収益リスクあり)

この組み合わせであれば、高利回り物件の収益で、他の安定物件の修繕費や空室リスクを補うことも可能です。

また、収益性の高い物件がキャッシュフローの潤滑油となり、資金繰りの安定化につながる点も大きなメリットです。


7.まとめ

利回り10%超えの「高利回り物件」は魅力的ですが、その裏には空室、修繕、管理など多くのリスクが潜んでいます。

表面利回りに飛びつかず、実質利回り・将来の支出・出口戦略まで見通した上で、バランス良い投資判断を心がけましょう。




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