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不動産投資

2025.09.10

満室の窓口

表面利回りと実質利回りの違いを解説|初心者が陥りやすい3つの落とし穴

不動産投資を始める際、多くの人が「利回り」を基準に物件を選びます。

しかし「表面利回り」と「実質利回り」の違いを正しく理解していないと、期待していた利益が得られないどころか、赤字に陥ることがあります。

この記事では、初心者が間違いやすいこの2つの違いをわかりやすく解説し、初心者が陥りやすい注意点もあわせてご紹介します。



<目次>
1.表面利回りの計算式
2.実質利回りの計算式
3.実質利回りが重視される理由
 ー表面利回りを鵜呑みにすると危険
4.初心者が陥りやすい3つの落とし穴
 ー経費の見落とし
 ー空室リスクの過小評価
 ー想定賃料の楽観的見積もり
5.利回りの正しい使い分け方
6.よくある質問
7.まとめ


1.表面利回りの計算式

不動産投資を始める際に、まず目にするのが「表面利回り(グロス利回り)」です。

表面利回りは物件の収益性をざっくりと把握するための基本的な指標であり、物件選定の初期段階でよく用いられます。

【表面利回りの計算式】

表面利回り(%)= 年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100

1,200万円の物件から年間120万円の家賃収入が得られる場合、表面利回りは10%になります。

メリットは、誰でも簡単に計算でき、複数の物件を比較検討する際の手がかりになる点です。

しかし、表面利回りには固定資産税や管理費、空室期間などの経費は一切含まれていません。

あくまで「理論上の収益率」であることを理解し、鵜呑みにせず参考程度に活用しましょう。


2.実質利回りの計算式

「実質利回り(ネット利回り)」とは、実際にかかるコストを考慮したうえで算出される、より現実的な収益性の指標です。

不動産投資では、物件を所有・運用する中で様々な経費が発生するため、表面利回りだけでは正確な利益を把握することができません。

【実質利回りの計算式】

実質利回り(%)=(年間家賃収入 − 年間経費)÷(物件価格 + 購入時諸経費)× 100

この「年間経費」には、管理費・修繕積立金・固定資産税・火災保険料・賃貸管理手数料などが含まれます。

また、「購入時諸経費」には、仲介手数料や登記費用、不動産取得税などが該当します。

年間家賃収入が120万円、年間経費が30万円、物件価格が1,200万円で購入諸経費が100万円だった場合、実質利回りは

(120万円 − 30万円)÷(1,200万円 + 100万円)× 100 ≒ 8.18%

実質利回りは表面利回りよりも低くなるのが一般的ですが、その分、投資後に得られる「実際の手残り収益」に近いため、収支計画や長期的な戦略を立てる上では欠かせません。


3.実質利回りが重視される理由

不動産投資では、物件選定の初期段階で表面利回りがよく使われますが、本当に重要なのは「実質利回り」です。

理由は、表面利回りは単純に「年間家賃収入 ÷ 物件価格」で算出される指標であり、物件を維持・運用する上でかかる経費が一切含まれていないからです。


ー表面利回りを鵜呑みにすると危険

例えば、表面利回りが10%と表示されている物件があっても、それだけを見て「高利回りだ!」と飛びついてしまうのは非常に危険です。

というのも、表面利回りには以下のようなコストが考慮されていません。

・毎月の管理費や修繕積立金

・火災保険料や固定資産税

・空室時の家賃収入ゼロ期間

・原状回復費や広告費などの突発的支出

これらを差し引いた「実際に手元に残る利益」は、表面利回りの数字よりも大幅に低くなる可能性が高いのです。

広告などでは見栄えをよくするために「満室想定時の家賃」で計算した表面利回りが提示されるケースが多く、実態との乖離が生じがちです。

こうした数字をそのまま信じてしまうと、「思っていたより利益が出ない」「赤字運用になる」といった事態を招きかねません。

だからこそ、実質利回りをしっかりと把握することが、安定した収益を確保するためのカギとなります。


4.初心者が陥りやすい3つの落とし穴

不動産投資は、安定した収益が期待できる一方で、見落としや誤算が致命的な損失につながるリスクもあります。

特に初心者に多いのが、数字上の利回りに安心してしまい、現実的な運用コストやリスクを軽視してしまうことです。

ここでは、よくある3つの落とし穴を解説します。


ー経費の見落とし

不動産を所有・運営するには、物件価格以外にも継続的に発生する経費が多々あります。

例えば、共用部分の管理費や将来の大規模修繕のための修繕積立金、毎年発生する固定資産税、入居者募集にかかる広告費などです。

これらの経費は月単位・年単位で積もると決して無視できない金額となります。

投資判断をする際に、これらのコストを見積もりに入れず「利回りが高い」と判断してしまうと、実際の手残りが想定よりも大幅に少なくなるという事態になりかねません。

表面利回りでは見えてこない経費を、実質利回りで把握することが肝心です。


ー空室リスクの過小評価

投資物件の広告やシミュレーションでは「満室稼働」を前提に利回りを計算しているケースがほとんどです。

しかし、現実の賃貸経営では、入退去による空室期間が必ず発生します。

地域や物件タイプによっては、1年間で数ヶ月も空室が続くことも珍しくありません。

空室期間中は家賃収入がゼロになるだけでなく、管理費やローン返済などの固定費は変わらず発生します。

そのため、空室リスクを考慮した現実的な収支計画を立てないと、「毎月赤字になる」ような事態も起こり得るのです。


ー想定賃料の楽観的見積もり

初心者が陥りがちなのが、「この立地ならこのくらいの家賃で貸せるだろう」と、市場相場を十分に調査せずに賃料設定を高く見積もることです。

地域や築年数、間取りによっては競合物件との差別化が難しく、希望賃料ではなかなか入居者が決まらないケースもあります。

結果として、賃料を下げざるを得ない状況になったり、長期空室を招いたりするリスクが高まります。


5.利回りの正しい使い分け方

不動産投資において、「表面利回り」と「実質利回り」はそれぞれ役割が異なります。

目的に応じて正しく使い分けることが、失敗しない投資判断の基本です。


表面利回りは「第一印象」として活用

表面利回りは、物件の基本的な収益性をシンプルに示します。

計算が簡単なため、不動産ポータルサイトや広告などで最初に目にすることが多く、複数の物件をざっくり比較するための第一ステップとして活用されます。

同じエリア・同じ価格帯の物件が複数ある場合、「どの物件が効率よく収益を出せそうか」を見極めるのに便利です。

ただし、あくまで「理論上の収益」に過ぎないため、この数字だけで購入を決めるのは危険です。


実質利回りは「投資判断の最終基準」として活用

購入後の収支を正確に見積もるには、実質利回りが欠かせません。

物件の維持にかかる経費や空室リスクなど、リアルな支出を加味して計算することで、手元に残る実際の収益が見えてくるからです。

購入前に管理会社に相談したり、過去の運用実績を調べたりして、年間経費をできる限り正確に把握しましょう。

シミュレーションツールを使う際も、必ず「経費項目を入力できる実質利回り形式」を選ぶことが重要です。


6.よくある質問

Q1. 表面利回りが高い物件は買いですか?

A. 表面利回りが高いからといって、必ずしも“お得”な物件とは限りません。

表面利回りが高い物件は一見魅力的ですが、実際には修繕費・空室リスク・地域の需要など、さまざまなリスクが隠れていることがあります。

地方の古いアパートや、築年数が経過した物件などは、家賃が高く見積もられていたり、入居率が低かったりする場合があります。

物件選びでは、「なぜ利回りが高いのか?」という背景まで確認する姿勢が重要となります。


Q2. 実質利回りはどのくらいを目安にすればいい?

A. 立地や物件タイプによって異なりますが、目安は以下のとおりです。

・都市部(例:東京23区・大阪市内など) → 実質利回り4〜6%

・地方都市・郊外エリア → 実質利回り6〜9%前後

都市部は物件価格が高い分、利回りは低めでも安定した収益が見込めます。

一方、地方は利回りが高く見える反面、空室リスクや賃料下落リスクがあるため、利回りだけでなく需要と将来性のバランスを見極めることが大切です。


Q3. 表面利回りと実質利回りのどちらを重視すべき?

A. 実質利回りを重視すべきです。特に初心者は要注意です。

表面利回りは「表面的な収益性」を示す数値で、物件同士をざっくり比較する際には便利です。

しかし、実際の投資では管理費、修繕費、空室リスクなど、さまざまなコストが発生します。

これらを考慮した実質利回りこそ、手元に残る“本当の利益”を示す指標です。

初心者は販売資料の表面利回りに惑わされがちですが、「利回りが高い=儲かる」わけではありません。

冷静に実質利回りを計算し、長期的な視点で収支を見積もることが成功のカギです。


7.まとめ

不動産投資で成功するには、「表面利回り」と「実質利回り」の違いを正しく理解することが大切です。

表面利回りは物件の比較に便利ですが、経費や空室リスクが含まれないため、過信は禁物です。

実質利回りを重視し、現実的な収支を把握することで、失敗リスクを減らせます。利回りの使い分けを意識し、冷静で堅実な投資判断を心がけましょう。




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