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土地活用

2018.05.30

満室の窓口

一括借り上げと管理委託方式の比較

みなさんはおそらく「一括借上」「家賃保証」という言葉は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

 多くは大手ハウスメーカーが管理子会社等を通して行っているもので、建築したアパートの部屋をすべて借上げて家賃を一定割合保証するものです。

 近年の人口減少の時代に自分のアパートが常に満室状態と同じになるわけですから大変良い制度に見えますよね?

 しかし、本当に一括借上はいいものなのでしょうか?例えば、新築のアパートを建てて入居者を募集する際、一括借り上げであれば家賃の85~90%を保証するケースが多く、敷金や礼金などは管理会社が受領する場合がほとんどです。

 ここで考えて頂きたいのは、新築時の家賃が高く礼金ももらえる時期に10~15%の管理料を支払って、礼金も手放すことがいいのかということです。

 例として1棟8世帯、平均家賃5万円の新築アパートを建てたとします。借り上げの場合、月の家賃収入は5万×8部屋×90%=36万円です。次に一般管理(管理料5%)では5万円×8部屋×95%=38万円となります。ここに礼金として1か月分入ってくるとして、5万円×8部屋=40万円。

いかがでしょうか。仮に同じタイミングで満室となった場合、初月で42万円の差が生まれます。そしてその後は2万×12か月=24万円の差が生じます。借入を返済しながら行っていく事業としては、この差は大きいですよね?

 もちろん入居者が決まらなければこの差はないのですが、入居率が悪ければ一括借り上げでも家賃は下がりますし、そもそも家賃保証ありきでの賃貸経営は危険です。保証があることを理由に、入居需要のないエリアで賃貸経営をするべきではありません。

 とはいえ、家賃保証は全く意味がないというわけではございません。繁忙期終了後の突発的な退去時などは助かることもありますし、物件が住まいから遠方にある場合などは一括して管理を任せられるメリットもあります。

 以上のことより、賃貸経営ではエリア需要、事業性などをオーナー自らがよく考え、経営に関する当事者意識をもったうえで管理方法を検討することが必要です。

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