不動産投資
高収益化を実現!アパート経営の新常識と差別化戦略
今回の共有会では「管理戸数を増やし、空室を利益に変えるための具体策」をテーマに、サブリースの仕組みや短期運用、駐車場の収益化、さらに物件の見せ方改善や投資戦略まで幅広く取り上げました。
2025.10.02不動産投資
2023.07.25
満室の窓口
2023年10月1日から、インボイス制度が施行されます。
消費税に関する新しい制度で、オフィスや店舗の賃貸経営にも影響するため、その仕組みを理解し対策をとる必要があります。
この記事では、インボイス制度の概要と不動産オーナーに与える影響、対応方法などについて紹介します。

インボイス制度とは、適格請求書(インボイス)を発行または受領することで消費税の仕入税額控除を受けられるようになる制度のことです。
仕入税額控除とは、売上で預かった消費税から、仕入れの際に支払った消費税を差し引いて納税する仕組みをいいます。
インボイスは取引年月日や取引内容、区分ごとの税率、合計金額、登録番号などが記載されたもので、「適格請求書発行事業者」に登録された課税事業者のみが発行できます。
不動産事業で消費税の課税対象となるのは賃貸オフィスや店舗、施設、事業用駐車場などで、住宅用アパートやマンションは対象外です。
対象となる不動産オーナーで、前々年度(2年前)の課税売上高が1,000万円以下であれば免税事業者、1,000万円以上であれば課税事業者と区分されますが、1,000万円以下でも適格請求書発行事業者となることは可能です。
インボイス制度が施行される理由は、正しい消費税額と消費税率を明らかにし、事業者の二重課税または益税問題を回避することにあります。
益税問題とは、国に納めるべき税金が消費税を預かった事業者の利益となってしまうことです。p;
現在の消費税制度では、納税義務のない免税事業者でも消費税を上乗せして請求することができるため、そのまま、免税事業者の利益となっているのが現状です。
しかし本来は国に納めるべき税金であり、負担しているのは最終消費者です。
消費者が納めるべき税金と、国が受け取るべき税金の差分をなくしていくのがインボイス制度の目的となっています。
インボイス制度は、不動産オーナーが課税事業者の場合は、借主が課税事業者でも免税事業者でも消費税の納付義務があるため特に影響はありません。
一方で不動産オーナーが免税事業者の場合は、適格請求書発行事業者の登録を検討する必要があります。
というのも、オフィスや店舗などの借主の場合、一般的に事業目的であるためテナント賃料には消費税がかかります。
そこで仕入税額控除を受けるために「適格請求書」を求めることが想定されます。
不動産オーナーがインボイスを発行できなければ、借主は制度を適用できる別の物件に転居するか、消費税分の賃料値下げを交渉する可能性があり、収益の減少、競争力の低下につながると考えられます。
また、免税事業者がテナント物件を売却する際、購入者は消費税還付を受けられないため買手がなかなか見つからない可能性もあります。
消費税還付とは払いすぎた消費税を返してもらえる制度で、物件購入のために支払った消費税が、事業の売上で預かった消費税額を上回るときに超過分として返金してもらえるものです。
もちろん、不動産を売却するためだけに課税事業者になることは適切とは言えません。
賃貸として運用し、将来的に売却することも視野に入れる場合に検討しましょう。
不動産オーナーとしては、課税事業者となりインボイスに対応するか、これまでどおり免税事業者として様子をみながら賃料減額などに対応するかのいずれかの選択肢が考えられます。
所有する物件のうちテナントが多い、売上規模が大きい、今後も拡大予定などが考えられる場合は課税事業者となる選択肢を検討してみるとよいでしょう。
課税事業者は「原則課税方式」と「簡易課税方式」のいずれかを選択します。
・原則課税方式
原則的な消費税課税方式。
基準期間の課税売上が5,000万円以上の場合には原則課税方式しか選択できない
売上にかかる消費税-仕入れにかかる消費税=消費税納付額
・簡易課税方式
基準期間の課税売上が5,000万円以下の場合に選択できる
売上にかかる消費税-売上にかかる消費税✕みなし仕入率40%=消費税の納税額 みなし仕入率とは業種ごとの仕入率のことで、不動産業の場合は40%と定められています。
簡易課税方式は計算が簡単で、売上にかかる消費税の60%が納税額となり、経費を抑えることで納税額を小さくできる可能性があります。
ただし、どちらの方式が消費税を小さくするかは個別に計算・比較してみないと分からないのが現状です。
また簡易課税方式の場合には消費税還付が受けられないこと、前年度までに簡易課税の申請をしなければならないこと、2年間は変更できないことなど制限も設けられています。
大規模修繕、新しいテナント物件の購入など、大きな仕入(経費)が見込まれる場合は原則課税方式を選択するほうが無難と言えます。
インボイス制度が施行されても、いきなり免税事業者からの仕入税額控除がストップするわけではありません。
令和8年(2026年)まではこれまでの仕入税額控除の80%、令和11年(2029年)までは50%控除が認められています。
それ以降は控除はなくなりますが、6年の経過措置期間が設けられているため、仕入税額控除できない金額分を値引きするなどして対応することが可能です。
すでに課税事業者の場合は、令和5年3月31日までに適格請求書発行事業者に登録する必要があります。
一方、これからインボイス制度の対応を検討している不動産オーナーは、退去や空室で収益に影響しないための対策を考えながら、立地条件や借主の状況、規模、収益性などから免税事業者を継続するかどうか見極めていきましょう。
判断できないときは、税理士に相談・シミュレーションするのもおすすめです。
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