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税金対策

2025.04.04

満室の窓口

修繕費と資本的支出

賃貸経営において「修繕」と「リノベーション」は避けて通れない重要なテーマです。

しかし、ただ費用をかけて原状回復を行うだけでは、物件の収益性や競争力はなかなか向上しません。

実は、ちょっとした工夫と税務上の知識を加えることで、修繕が節税効果を生み、さらに賃料アップにつながる投資へと変わる可能性があります。 

この記事では、修繕費と資本的支出の違いや、原状回復+デザイン性を加える工夫、外壁塗装の活用方法、そして具体的な投資効果の実例までをわかりやすく解説します。

税務とデザイン、そして経営戦略を結びつけた、実践的な賃貸経営のヒントをお届けします。



<目次>
1.「修繕費」と「資本的支出」の違い
2.修繕費と資本的支出の見分け方
3.原状回復+デザイン
4.外壁デザイン塗装
5.まとめ


1.「修繕費」と「資本的支出」の違い

建物や設備にかかる費用を経理処理する際、「修繕費」か「資本的支出」かによって節税効果が大きく変わります。

この2つの分類は、税務上の重要な判断ポイントです。


【修繕費(しゅうぜんひ)】

建物の機能を回復するための費用(原状回復)

・壁のひび割れ補修

・給湯器の修理

・雨漏りの修理

・クロスの張り替え

・水栓修理

・外壁塗装

 →その年の経費として処理される

修繕費はその年の費用(損金)として一括で計上できるため、即座に所得を圧縮し、節税効果が高いです。


【資本的支出(しほんてきししゅつ)】

建物の機能を向上させるための費用

・キッチン→システムキッチン

・和室→洋室

・間取り変更

・ダウンライト交換

 →初年度から減価償却として経費計上される。

つまり、費用として分割計上するため、節税効果は年ごとに少しずつになります。



2.修繕費と資本的支出の見分け方


上記画像のような修繕費と資本的支出の判断フローチャートに沿って進めていくと、修繕費なのか、資本的支出なのか見分けることができます。

①【目的】で判断する

【修繕費】壊れた・古くなったものを元に戻す → 現状回復

【資本的支出】グレードアップ・機能向上・使用可能期間の延長


②【金額】で判断する(※目安)

1つの工事が20万円未満(税抜)であれば、基本的には修繕費として扱ってOKとされています。

(国税庁「少額資産の特例」より)


③【頻度・定期性】で判断する

定期的に行われる工事(例:数年ごとの外壁塗装)→修繕費

一度きりの大規模リフォーム→資本的支出


例えば・・・

「空室対策のためにエアコンが付いていない部屋に新しくエアコンを設置した場合」

これは修繕費?それとも資本的支出?


もともとエアコンがなかった部屋に新たに設置する場合は、設備を追加して部屋の機能を高める行為とみなされるため、資本的支出に該当します。

国税庁でも、資本的支出は「資産の価値を高めたり、耐用年数を延ばす支出」と定義されており、このケースにあてはまります。

しかし、10万円未満(税抜)で取り付けた場合は、「少額資産の特例」が適用されて、一括で経費にできる可能性もあります。


【少額資産の会計処理の基準 】

① 10万円未満(税抜) の場合 → 無条件で一括経費処理OK(修繕費ではなくても可) 

これは法人・個人問わず共通で適用できます。 


② 10万円以上~20万円未満(税抜) の場合 → 条件を満たせば、「少額減価償却資産の特例(即時償却)」が使えます。 

この特例のポイント 

・青色申告をしている中小企業や個人事業主が対象

・年間300万円までの合計額に限り、一括で経費計上(損金算入)可能


3.原状回復+デザイン

クロス(壁紙)の張り替えは、原状回復に伴う修繕費として基本的に認められている項目です。

従来は白いクロスに張り替えることが一般的でしたが、近年では「原状回復+デザイン性向上」という考え方が注目されています。

たとえば、クロスを張り替える際に、単に同じ白いクロスに戻すのではなく、アクセントクロスを取り入れて空間に彩りを加えるという選択肢もあります。

これにより、室内の印象を良くするだけでなく、物件の付加価値を高めることも可能です。

また、白いクロスはどうしても汚れが目立ちやすく、数年住んだだけで全体を張り替える必要が出てくることもあります。

こうした課題に対しても、汚れが目立ちにくい色や素材のクロスに変更することで、将来的な張り替えの頻度を減らすことができます。

このように、原状回復のタイミングでクロスのデザイン性や機能性を見直すことは、コストを抑えつつ空間価値を向上させる有効なアプローチです。


【参考事例】

画像:リノッタ

基本的にはグレー、ベージュ、茶色といったクロスをうまく使いながらデザインを入れたお部屋を作っています。


【節税しながら賃料アップを実現するリノベーション効果の実例】

たとえば、100室の賃貸物件を所有し、稼働率が90%(90室入居中・10室空室)、課税所得が5,000万円あるオーナー様がいたとします。

この空室10室に対して、1室あたり20万円、合計200万円の費用をかけて「ライトリノベーション(簡易的な改装)」を実施したとします。

その結果、各部屋の賃料が月2,000円アップし、年間では1室あたり24,000円の賃料増収が見込めます。

また、リノベーション費用200万円は経費として計上できるため、課税所得がその分圧縮されます。

特に、4,000万円を超える部分の所得には55%という高い税率がかかるため、

・リノベをしなかった場合の税金:550万円(超過所得1,000万円 × 55%)

・リノベをした場合の税金:440万円(超過所得800万円 × 55%)

このように、リノベによって税金が110万円も減少。

つまり、実質的なリノベ費用の負担額は90万円(工事費200万円 − 節税効果110万円)となります。

加えて、10室分の年間賃料アップ額は合計24万円。

これを実質負担額90万円に対する利回りで考えると、約26.6%という非常に高い投資効率となります。


4.外壁デザイン塗装で物件力アップ

賃貸物件の外壁は、一般的に約12年ごとに塗り替えが必要とされています。

これは経年劣化による塗装の劣化や防水性の低下を防ぐためであり、多くの場合、「修繕費」として計上できるメンテナンス項目です。

しかし、実際には「以前と同じような塗装」で済ませてしまうオーナー様も少なくありません。

確かにそれでも建物は守られますが、せっかく費用をかけるのであれば、このタイミングを“チャンス”と捉えてみてはいかがでしょうか。

そこでおすすめなのが、デザイン性を取り入れた外壁塗装です。

カラーや塗り分けパターンに工夫を凝らすことで、物件全体の印象が一新され、視認性やブランド感が向上します。

結果として、入居希望者の目に留まりやすくなり、空室対策にもつながるのです。

特に周辺物件との差別化を図る上でも、デザイン塗装は有効。外観の美しさは、ネット掲載写真や現地見学の第一印象に大きく影響します。

つまり、「修繕費としての外壁塗装」+「集客力向上という投資効果」を同時に狙えるのが、デザイン外壁の魅力です。


5.まとめ

賃貸物件の価値を高めながら、同時に税負担を軽減するためには、「ただ直す」から一歩進んだ戦略が求められます。

修繕費と資本的支出の正しい見極め、原状回復にデザイン性を加える工夫、そして外壁塗装を含めたリノベーションによるブランディングは、物件の競争力を高める大きな武器です。

 今回ご紹介した事例のように、計画的な修繕・リノベーションは“コスト”ではなく“投資”と捉えることが、賃貸経営を成功に導くカギとなります。

数字とデザイン、両方の視点を活かし、長期的に収益を生む物件づくりを目指していきましょう。



※本情報は一般的なガイドラインを提供するものであり、具体的な対策を行う際には税理士や弁護士にご相談ください。



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