税金対策
不動産投資における修繕費と資本的支出
2025.03.25税金対策
2025.06.04
満室の窓口
不動産投資は、購入から運用、売却に至るまで各段階でさまざまな税金が発生します。
これらの税金を正しく理解し、適切に対応することが、投資の成功には不可欠です。
本記事では、不動産投資に関わる税金の種類や注意点を時期別に解説します。
不動産投資を始めるにあたって、最初に発生する大きな出費が「購入時の税金や諸費用」です。
これらを正しく理解していないと、資金計画が狂う原因にもなります。
ここでは、不動産購入時にかかる代表的な税金と費用について、詳しく解説します。
不動産取得税は、不動産(土地や建物)を購入したときに一度だけ課される地方税です。
課税対象となるのは「固定資産税評価額」であり、売買価格ではない点に注意が必要です。
通常の税率は4%ですが、マイホームとして使用する住宅用地や新築住宅には軽減措置が適用され、3%またはそれ以下に抑えられるケースもあります。
たとえば、新築住宅を一定の床面積以上で取得した場合、建物部分の評価額から1,200万円の控除が適用されることもあります。
税額通知は不動産取得から半年〜1年後に自治体から届くため、忘れずに納税の準備をしておきましょう。
印紙税は、不動産の売買契約書などの課税文書を作成する際に必要となる税金です。税額は契約金額に応じて変動します。
契約金額が1,000万円を超え5,000万円以下の場合、印紙税は1万円。売買契約書の原本が2通ある場合は、原則それぞれに印紙を貼付する必要があります。
ただし、電子契約を利用すれば印紙税が不要になるケースもあるため、IT活用も節税の一手段といえるでしょう。
登録免許税は、不動産を登記する際に課される国税です。
所有権移転登記や住宅ローンを利用した際の抵当権設定登記などに対して発生します。
税率は、所有権移転登記の場合、土地が1.5%、中古住宅が0.3%、新築住宅が0.15%となっています(軽減措置適用時)。
課税標準はやはり固定資産税評価額で計算されるため、実際に支払う金額は物件価格より低めになることが一般的です。
登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的で、その報酬も数万円〜十数万円が別途発生します。
不動産の建物部分の購入代金および不動産会社へ支払う仲介手数料には、10%の消費税が課されます。
一方、土地そのものには消費税はかかりません(非課税取引)。
つまり、同じ価格帯の物件でも「建物比率」が高いほど消費税負担は増すことになります。
また、個人間売買であれば建物も非課税となるため、売主の属性によって消費税の有無が異なる点にも注意が必要です。
不動産を取得したあとは、所有・運用する期間中にも継続的に税金や各種費用が発生します。
しっかりと把握しておくことで、収支計画のズレや予想外の出費を防ぐことができます。以下に、運用中にかかる主な税金と費用を解説します。
不動産を保有しているだけで毎年かかるのが「固定資産税」と「都市計画税」です。いずれも地方自治体に納める地方税で、不動産の所有者に対して課されます。
・固定資産税の税率は標準で1.4%(自治体によって異なる場合あり)
・都市計画税は市街化区域内にある不動産に課され、最大0.3%まで
課税標準は固定資産税評価額で、築年数の経過や建物の状態により評価額が変動することもあります。
納税通知書は毎年4~6月頃に送られ、年4回の分納も可能です。
住宅用地や小規模住宅用地には軽減措置があるため、適用条件に該当する場合は税額が大幅に軽減されます。
不動産投資で得られる家賃収入などの「不動産所得」は、確定申告により所得税・住民税の対象になります。年間の不動産所得が20万円を超える場合は申告が義務づけられています。
・所得税は5%~45%の累進課税
・住民税は一律10%
経費として計上できる項目(減価償却費、管理費、修繕費、ローン利息など)を適切に処理することで、課税所得を抑えられます。また、赤字になった場合は「損益通算」により他の所得と相殺することも可能です。
規模が大きくなると課税対象となるのが「個人事業税」です。具体的には、不動産賃貸業が「5棟10室以上」の規模になると、事業とみなされ課税される可能性が出てきます。
・税率は5%
・年間の所得から290万円の控除後、課税
小規模での不動産運用では課税されないケースが多いですが、拡大を目指す場合は将来的な税負担も視野に入れておきましょう。
不動産の運用には、税金以外にも以下のようなコストが継続的に発生します。
・管理費・修繕費:管理会社への委託料、共用部の清掃や保守、建物のメンテナンス
・火災・地震保険料:万一の損害リスクに備えるために必要
・税理士報酬:確定申告や節税対策を依頼する場合に発生
・空室対策費:広告費やリフォーム費など、入居率を維持するためのコスト
不動産投資において売却は、キャピタルゲイン(売却益)を確定させる重要なタイミングです。
しかし、売却によって得た利益には税金が課せられ、手元に残る金額は想像より少なくなることもあります。
ここでは、売却時に発生する主な税金と費用について解説します。
不動産を売却して得られた利益(譲渡所得)には、所得税および住民税が課税されます。
譲渡所得の計算は以下の通りです。
譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)
税率は、所有期間の長短によって以下のように分かれます。
・短期譲渡所得(5年以下):所得税30.63%+住民税9%=計39.63%
・長期譲渡所得(5年超):所得税15.315%+住民税5%=計20.315%
不動産を購入してから5年以内に売却すると、高税率が適用されてしまうため、売却時期の調整も重要な戦略となります。
マイホームとして利用していた物件の場合、一定の条件下で「3,000万円の特別控除」などの優遇措置が適用される可能性があります。
ただし、投資用物件では対象外となるケースがほとんどです。
売買契約書を作成する際には、契約金額に応じた印紙税が必要です。
例として、5,000万円を超え1億円以下の契約には3万円、1億円超5億円以下なら6万円が課税されます。
紙媒体で契約書を交わす場合は、印紙を契約書に貼付・消印する必要がありますが、電子契約を利用することで印紙税を回避できる場合もあります。
売却時には、抵当権の抹消登記や名義変更などの手続きが必要です。
・登録免許税:抵当権抹消登記は1件につき1,000円
・司法書士報酬:1万〜2万円程度が相場
金融機関によりローン返済証明書の発行手数料なども発生することがあります。
不動産売却に伴って発生する、税金以外の諸費用も見逃せません。
・仲介手数料:売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税(上限額)
・住宅ローンの繰上返済手数料:一括返済に伴う事務手数料
・測量費用・解体費用:必要に応じて発生
・引越し費用:自宅として利用していた場合
これらの費用は、売却金額から差し引かれる形で実際の手取り額に影響するため、事前にしっかりと見積もりを立てておくことが重要です。
不動産投資では、計画的に節税対策を講じることで、手取り収益を最大化できます。
ただし、税制には複雑なルールや制限もあるため、メリットだけでなくリスクや注意点も理解しておくことが重要です。
ここでは代表的な節税方法と、実務上のポイントを解説します。
個人で不動産賃貸業を行っている場合、確定申告時に青色申告を選択することで、複数の節税メリットを受けられます。
・最大65万円の特別控除(複式簿記+貸借対照表の提出が必要)
・赤字の繰越控除(最長3年間繰り越し可)
・家族への給与支払いを経費計上可(青色事業専従者給与)
青色申告は事前に税務署への届出が必要です。初年度の届け出を忘れると適用できないため、投資開始時点での準備が重要です。
不動産所得が赤字となった場合、その損失は他の所得(給与所得や事業所得など)と相殺できます。これを「損益通算」と言います。
たとえば、不動産の修繕費や減価償却費などで赤字となれば、その分所得税や住民税を軽減できるため、実質的な節税になります。
ただし、以下の点に注意が必要です。
・ローンの元本返済分は経費にならない
・家事按分が過大だと否認されるリスクあり
・税務調査対象となりやすい項目でもある
適切な帳簿管理と証憑の保管が重要です。
不動産投資の規模が大きくなる場合、「法人化」を検討することで、より柔軟で効率的な節税が可能になります。
法人化のメリット
・所得分散による税率の引き下げ
・社会保険の加入で節税+将来の保障
・経費計上の幅が広がる(役員報酬や法人車など)
ただし、法人を設立・維持するためには、以下のようなコストと手間もかかります。
・設立費用・登記手数料
・法人税申告のための税理士報酬
・毎月の経理・社会保険手続き
収支規模や投資方針に応じて、個人と法人のどちらが最適かを検討しましょう。
節税を意識しすぎて「過度な対策」に走ると、かえってリスクを高めることになります。
・本来の投資目的(収益性)を損なう節税策は避ける
・意図的な赤字化や架空経費は脱税リスク
・税法改正や通達変更により節税効果が薄れる可能性あり
不動産投資は中長期の視点が求められるため、「短期的な税金の軽減」よりも「持続可能な収益構造」を優先すべきです。節税対策は自己判断せず、不動産に強い税理士への相談を強くおすすめします。
不動産投資では、物件の購入・保有・売却の各フェーズで、さまざまな税金や費用が発生します。
それぞれのタイミングでどのようなコストがかかるのかを正しく理解することは、投資を成功させるための重要な前提条件です。
購入時・運用中・売却時を踏まえて、青色申告や損益通算、法人化などの節税対策を適切に講じることで、収益性を高めることが可能です。ただし、税制は複雑で変更も多いため、信頼できる税理士との連携や定期的な見直しが不可欠です。
税金対策は「知らなかった」では済まされない領域です。しっかりと情報を集め、実務に即した対応をとることで、不動産投資のリスクを抑えつつ、長期的な資産形成を目指していきましょう。
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