家賃設定を間違えるな!周辺相場に負けない適正家賃の決め方と見直しタイミング
不動産経営において「家賃の設定」は、最も重要な要素の一つです。 今回は、“経営の根幹”ともいえる家賃の「適正な決め方」と「見直すべきタイミング」について、実践的なポイントを解説します。
2025.04.17空室対策
2025.07.16
満室の窓口
空室率の増加が続く賃貸市場で、「賃料を上げても選ばれる物件」にするにはどうすればよいのでしょうか?
本記事では、不動産オーナー向けセミナーの内容をもとに、最新の空室対策、賃料アップの考え方、そして収益改善の具体的な成功事例を紹介します。
ー2025年賃貸市場の現状
①全国的な傾向
◼︎人口減少と高齢化の進行
特に地方において顕著であり、若年層の都市部流出が続いています。
◼︎住宅供給は依然として過剰傾向
新築物件の供給が止まらず、空室の増加を招く一因となっています。
◼︎賃貸需要の都市集中
需要は東京都心や地方の中核都市(例:名古屋・福岡など)に集中しており、これらのエリアは比較的安定した賃貸需要が維持されています。
②都市部と地方における傾向の違い
地域ごとに空室率や賃料相場の動向には大きな違いが見られます。
特に地方都市では空室率が20%近くに達しており、今後の賃貸経営においてはより明確な差別化戦略とリフォームなどの投資判断が求められます。
ー空室率が高まる背景
近年、全国的に空室率の上昇が課題となっており、その背景には以下の3つの要因が挙げられます。
1. 人口減少と世帯数の減少
特に地方都市では、人口の減少と高齢化が同時進行しており、若年層の都市部流出が加速しています。
加えて、世帯数自体も減少傾向にあり、住まいに対する需要が下がっている一方で、新築物件の供給は続いているため、需給バランスが崩れているのが現状です。
2. 新築アパートの供給過多
供給過剰の状況が続いており、築浅でも空室が埋まらない物件が増加しています。
その一因として、「似たような物件」が大量に建設されていることが挙げられます。
設備・間取り・家賃などが類似しているために差別化が難しく、入居者に選ばれにくい状態となっています。
3. 入居者の目が厳しくなっている
現代の入居者は、物件を選ぶ際にインターネットを活用した比較検討が当たり前になっています。
物件情報、写真、設備、周辺環境、評価など、あらゆる要素が細部にわたってチェックされており、少しの欠点も見逃されない厳しい時代です。
つまり、「ただ普通の物件」では選ばれません。
現在の賃貸市場では、「家賃を下げても決まらない」「築年数が古くても選ばれる物件は決まる」という逆転現象が起きています。
単に安い・新しいだけでは空室は埋まりません。重要なのは、“選ばれる理由”がある物件かどうかです。
差別化された魅力や明確な訴求ポイントがなければ、競争に勝てない時代に突入しています。
ー築年数別空室率の違い
築年数と入居者ニーズの関係:古い物件=不利ではない!
築年数による印象の違い
築浅(新築~15年)物件
設備も比較的新しく、見た目の印象も良いため、競争力が高いとされています。
築20年以上の物件
水回り・壁紙・間取りなどが古く見えやすく、特に若年層から敬遠されがちです。
しかし、これは一概に「古い=不利」とは言い切れません。
入居者の本音:「築年数より中身が大事」
入居者の視点に立つと、築年数がすべてではないことがわかります。
「築25年以上でも、内装がキレイなら全然アリ」
「築浅でも、共用部が汚い物件はイヤ」
など、入居者が重視しているのは築年数そのものよりも、“見た目の清潔感や機能性”なのです。
本当に大切なのは「今のニーズ」に応えているかどうか
「築年数が古いかどうか」よりも、今の入居者が求める価値に物件が合っているかどうかが決め手になります。
たとえば、
・内装や水回りがリフォームされている
・清潔感がある共用部
・ネット環境や収納など、ライフスタイルに合った設備がある
「選ばれる理由」が備わっていれば、築古物件でも空室は十分に埋められるのです。
ー地域別家賃相場
■ 家賃を「相場以上」に上げるのは難しい?
→ 必ずしもそうとは限りません。工夫次第で可能です。
■ 相場以上の家賃を実現できている物件の特徴とは?
1.内装がスタイリッシュで、他と差別化されている
2.最新の設備が整っている
例:無料Wi-Fi、宅配ボックス、IoT対応など
3.共用部分がきれいに清掃・管理されている
4.室内写真や募集広告が魅力的で、物件の魅力を伝えている
ー入居者ニーズの変化
昔と今では、物件を選ぶ基準が大きく変化しています。
【2010年代前半】入居者が重視していたポイント
・家賃が安いか
・駅からの距離
・築年数
→ つまり、「コスパ・立地・新しさ」が中心。
【2020年代現在】入居者が重視するポイント
・ネット環境(Wi-Fi無料など)
・設備の快適性(エアコン、防犯設備、宅配ボックスなど)
・清潔感(特に水回りなど)
・デザイン性(アクセントクロス、照明などの工夫)
→ 物件の「居心地・便利さ・見た目」が重視されるようになっています。
■ 入居者の価値観・感覚の変化とは?
過去と現在では、入居者が「住まい」に求める基準が大きく変わってきています。
昔:とにかく住めればOK → 今:自分が気に入った空間に住みたい
昔:駅までの距離が最重視されていた → 今:多少駅から遠くても快適ならOK
昔:写真は参考程度 → 今:内見せずにネットの写真・動画だけで決める人も多い
■ デジタル化と「見た目重視」の時代へ
現代の入居者は、スマホを使って物件を探すのが当たり前。
その結果、物件の「見せ方」がますます重要になっています。
・写真・間取り・設備が見やすく整っていないと、すぐに候補から外される
・インスタグラムやYouTube、TikTokなどで紹介される「映える物件」が人気
・「清潔感」や「デザイン性」が、家賃以上に重要視されるケースも
今の入居者は、「価格」だけで物件を選ぶのではなく、感覚的な好み・快適さ・安心感を重視しています。
家賃の安さだけでは選ばれにくく、暮らしの質(住み心地や雰囲気)が選ばれる基準になっているのです。
▼以下の動画で詳しく解説しています。
ーよくある誤解
誤解①:「築年数が古いと家賃は上げられない」
事実、築20年の物件でも家賃アップに成功している事例は多数あります。
「古さ」ではなく、「魅せ方・使い方」次第で家賃アップは可能です。
誤解②:「周辺の家賃相場が安いと値上げできない」
相場は参考になりますが、+αの魅力(独自性・付加価値)を感じてもらえれば、相場+5〜10%の値上げも実現可能です。
誤解③:「とりあえずリフォームすれば家賃は上がる」
ただの修繕では限界があります。重要なのは「誰に、どんな暮らしを届けたいのか」を明確にしたコンセプト提案です。
■ 家賃アップに必要な「戦略」とは?
・入居者目線で物件を見直す
・どこで差別化するのかを明確にする
・内装・写真・設備などで、“期待値以上”の提案を行う
ー賃料アップ成功の3ステップとは?
闇雲にリフォームや値上げをしても効果は出ません。次の3ステップで戦略的に進めることがカギとなります。
ステップ①:現状分析(原因の見える化)
まず、家賃が上げられない・空室が続く原因を可視化することが大切です。
・空室期間や家賃の推移を確認する
・競合物件との比較(築年数・設備・立地・見せ方など)
・仲介業者や内見者からの声をヒアリングする
・募集広告や写真の内容をチェックする
ステップ②:改善策の立案と実行
次に、誰に向けて、どのような改善を行うかを明確にし、行動に移します。
・想定入居者(ターゲット)の明確化
・最小限のコストで最大効果を出す改善策の検討
例:照明追加、アクセントクロス、水回りの印象アップなど
・募集条件・写真・間取り図・現地のPOPも見直し
ステップ③:PRと仲介業者との連携強化
改善した内容を、入居希望者や仲介業者にしっかり伝える体制を整えます。
・仲介業者に改装内容などの情報共有を行う
・写真やPR文をリニューアル
・広告費(AD)やインセンティブの調整で物件の露出強化
この3ステップを順に実行することで、相場以上の家賃設定や早期成約の実現が期待できます。
ー賃料アップの成功事例
成功事例①
成功事例②
ー家賃アップを試みたが失敗した原因
「家賃を上げれば収益改善できる」と思って実行しても、適切な手順や戦略がないと逆効果になることもあります。
失敗の原因
・ターゲットが設備に魅力を感じていなかった
→ 大学生や20代の一人暮らしが多い地域では、「最新設備」よりも「家賃の安さ」が重視される傾向にありました。
・家賃の上限がハッキリしているエリアだった
→ どれだけリフォームしても、それ以上の家賃は取れず、結果としてリフォーム費用の回収に長期間かかってしまった。
失敗の原因
・物件の広さや間取りとデザインがちぐはぐ
・家賃を上げる根拠として「見た目」しかなかった
・内見時にがっかりされる「写真詐欺」状態に
▼以下の動画で詳しく解説しています。
ー差別化の考え方
差別化とは「オンリーワンの価値」を作ること。
「築浅」「駅近」「広い」などの物理的な条件だけで勝負すると、競合が多く、価格競争に巻き込まれてしまいます。
■ 差別化に必要なのは「工夫」と「伝え方」
大きな設備投資をしなくても、視点を変えることで物件に差別化を生むことは可能です。
入居者が「この部屋、自分の暮らしに合ってる」と感じた瞬間に、家賃に対する納得感や満足感が生まれます。
ー人気物件に共通する4つの特徴
築年数や広さよりも重要なのは、「入居者の心をつかむ工夫」です。
入居者から選ばれる人気物件には、以下のような4つの共通する特徴があります。
1.内装の第一印象が良い(視覚で惹きつける)
・明るい床材や白系クロスで清潔感を演出
・アクセントクロスで空間にリズムを加える
・古さも「味」として活かしたリノベーションが効果的
2.募集写真・情報が魅力的(ネット上で差がつく)
・実際より広く・明るく見せる写真撮影の工夫
・バーチャルステージングで家具の配置をイメージさせる
・正確でわかりやすい間取り図
・物件の特徴や魅力が伝わるストーリー性ある紹介文
3.入居者ターゲットが明確(誰向けかが明示されている)
・単身者、女性、在宅ワーカー、外国人など
・ターゲットに応じた訴求内容が異なる
例)女性向けなら防犯性(オートロック・TVモニターホン)や照明を重視
4.生活の質を高める「小さな快適設備」がある
・室内物干し、姿見、宅配ボックス、無料Wi-Fiなど
・高額でなくても「これ便利!」と思わせる設備が決め手に
・快適性の“積み重ね”が、家賃への納得感につながる
ー入居者満足度を高める6つの視点
高い家賃でも「納得して住む」には“満足感”が必須!
賃料を上げた物件でも、入居者が“ここに住んでよかった”と感じれば、退去率が下がり、リピートや紹介も期待できます。
【入居者満足度を高める6つの視点】
1.快適性
エアコン性能、遮音性、日当たり、室温管理(断熱・遮光カーテン)など
2.安心・安全性
オートロック、防犯カメラ、TVモニターホン、明るい共用部
3.清潔感
共用部の清掃頻度、外壁の汚れ、ゴミ置き場の管理など
4.利便性
ネット無料、宅配BOX、駐輪場の整備、共用スペースなど
5.デザイン・おしゃれさ
アクセントクロス、照明、共用廊下や玄関の統一感
6.サービス対応力
トラブル時の対応スピードやフォロー体制、定期点検など
▼以下の動画で詳しく解説しています。
【家賃アップに必要な「投資」と「回収」をバランスよく考える】
「お金をかければ家賃は上がる」は誤解です。
重要なのは“いくらかけて、どれくらいの家賃アップになるか”を見積もることが大切です。
家賃アップだけでなく空室期間の短縮も加味します。
(例)賃料が5万円の場合
→空室が1ヵ月短くなっただけで、5万円の損失回避
家賃+入居スピードの両方が改善されるなら、投資効果はさらに大きくなる
【注意点】
• 高額な設備更新ほど市場ニーズと合わないと回収困難
• 「原状回復+α」のレベルで済む差別化が最もコスパが良い
• 築古物件は「リノベ前提」よりも「小改善+演出」で様子を見るのが◎
(あと何年で解体するのかを考える)
ー家賃アップにかかる費用
一般的に不動産投資の投資対効果は10~20%
→30%以上であれば高収益改善と判断されます。
ー長期入居につながる5つの視点
1.設備面の満足度向上
エアコン・給湯器を定期的に更新/収納の増設/照明アップグレード
2.サービス対応
不具合時の即時対応/定期点検の実施/相談窓口の設置
3.生活支援
ゴミ出しルールの明確化・改善/無料Wi-Fi導入/防災グッズの配布
4.コニュニティ形成
入居者向けイベント/掲示板の活用
5.特別対応・配慮
高齢者向け見守りサービス/ペット飼育用設備設置/子育て世代向けの支援設備設置など
入居者が長く住んでくれることで
✔︎原状回復費が減る
✔︎空室期間が発生しない
✔︎良い口コミが広がる
3DKの間取りはそのままに、清潔感のある水回りと最新の設備を追加し、賃料7000円UPに成功しました。
▼以下の動画で詳しく解説しています。
今や「家賃を下げて入居を促す」時代は終わり、これからは「価値を高めて選ばれる物件づくり」が求められています。
市場には、家賃を下げても空室が埋まらない物件が増えており、価格競争に巻き込まれないための戦略が不可欠です。
成功している物件の共通点は、入居者ニーズを的確に捉え、他とは違う魅力を打ち出していること。
今の時代、“選ばれる物件”は戦略と工夫によって確実に生み出すことができます。
ただし、入居者の求める設備や暮らし方は日々変化しています。
そうした変化に対応できなければ、空室が長期化するリスクも。時代に合った設備や価値を備え、安定した収益を確保する運用を目指しましょう。
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