税金対策
暦年贈与活用のポイント
本記事では、暦年贈与を利用した財産移転のポイントを、基礎控除の枠内で計画的に行う方法、基礎控除を超えた場合の累進課税への対応、そして実際の贈与金額による節税効果を比較検討します。
2024.07.18税金対策
2023.06.08
満室の窓口
不動産投資家が、不動産投資での所得税額を生かして、ふるさと納税に活用することが広まってきています。
ふるさと納税は、実質的には納税ではなく「寄附」と考えることになります。
応援したい自治体に寄附することで、寄附学のうち2,000円を越える部分について、所得税や住民税から原則として全額が控除され、さらにお礼として返礼品がもらえる嬉しい制度です。
こう考えると、ふるさと納税が「節税」だと言われる事がありますが、実際は支払う税額が減るわけではないので、「節税」という事はできません。
しかし、寄附金の3割ほどの「返礼品」を受け取ることができるメリットはとても大きく、実質節税できているかのように感じられるでしょう。
ただし、いくらでも寄附ができ、いくらでも控除が受けられるわけではなく、この控除額には上限額があるため、自身が寄附できる上限額を確認する必要があります。
また、今回の記事で取り上げる、「本業以外にアパート経営などの不動産所得がある場合」はこの上限額が増えるため、ふるさと納税を行うことで、より多くのメリットを受けることができます。
つまり、不動産投資家で不動産所得がある場合は、ふるさと納税を行わない手はないと考えられるでしょう。
※しかし、自分が住む自治体への応援が念頭にあり、あくまでも自身が居住している自治体に税金を納めたいと考える方は、ふるさと納税を行い返礼品を受け取るメリットより、自治体への思いを優先されるべきでしょう。
今回の記事では、不動産投資家が、ふるさと納税を活用しようとする際の、ノウハウやメリットをわかりやすく解説しています。
これからふるさと納税を初めてみようという方は、この記事を参考にしてください。
ふるさと納税とは、全国の応援したい地域に寄附ができる仕組みのことです。
自身が生まれ育った地域や特定の地方自治体に寄付金を行うことで、その地域の活性化を支援する制度です。
寄附を行えば、所得税や住民税の控除を受けることができます。
そして、寄附の返礼品として地域の特産物などが貰える魅力的な制度です。
ふるさと納税を行うタイミングや時期的なことについては、以下のように考えます。
・年末に、その年の所得が決まる。同時に、所得税額が決まる。
・その所得税額によって、翌年に支払う所得税と住民税の支払い金額が決定し、翌年になってから決定した税金を自治体に納める。
・しかし、ふるさと納税を行う場合は、自分の自治体に税金を行うより前もって、前年のうちに応援したい自治体にふるさと納税を納める。
・その際の「寄附金受領証明書」を元に、翌年に自身の住む自治体に支払うべきであった税金が控除される。
ふるさと納税の制度は、2008(平成20)年4月の地方税法等の改正によって、同年の5月からスタートしました。
この制度の考え方は、そもそも人口減少による税収の減少への対応や、地方と大都市の格差是正を目的とするものです。
このふるさと納税制度が始まってから15年ほど経ちますが、この制度をうまく活用できている人と、全く活用できていない人に分かれます。
制度がややこしく感じる方や、計算が難しそうだと考えている方が多いため、活用できていない人もまだまだ居る現状です。
自分が住む自治体に、所得税や住民税を払う代わりに、応援したい他の地域に「寄附」する形で自身の税金分の金額を納めることが、このふるさと納税です。
すると、納めた寄付金額から自己負担の2,000円を引いた額が、実際に自分の住む自治体に納税をする際に、全額の控除を受けることができるという仕組みです。
単に、税金を他の地域の応援のために納めるという意識だけでは、なかなか活用する人がおらず寄附金が集まらないため、各自治体では、お礼として「返礼品」を出すことになりました。
この返礼品は、寄付金の3割程度が目安となるため、単に自分の住む自治体に税金を支払うよりは、同じ金額で返礼品がもらえるなら!と、ふるさと納税を活用する人が年々増えてきました。
ふるさと納税を行なった人には、「返礼品」と、と寄附したことを証明する書類「寄附金受領証明書」が届きます。
この証明書を元に、ふるさと納税の手続きを行うと、寄附金のうち2,000円を超える部分については所得税の還付、住民税の控除を受けられる仕組みです。
(この2,000円は、自己負担金となり、一律で支払いが必要となります。)
詳しくは、以下の公式サイトも参考にしてください。
▼総務省|ふるさと納税ポータルサイト
ふるさと納税を行うメリットは以下の4点です。
①全国どこでも、自分が好きな地域や応援したい地域に寄附することができる。
②寄附金の使い道を、自治体ごとに自分で選ぶことができます。例えば、環境保護や、文化遺産の保護、子育て支援、医療など様々な使い道があります。
③返礼品(自治体からのお礼の品)がもらえます。
④ふるさと納税で行った寄附は、2,000円を超える部分について、一定の限度額まで原則として所得税・住民税から全額が控除されます。
ふるさと納税を行う流れは、以下の4ステップです。
①控除上限額を確認する
自分がいくらまで「ふるさと納税」を行うことができるのか、まずは控除上限額を知る必要があります。
この上限額は、ふるさと納税のポータルサイト(公式サイト)でシミュレーションを行うことができます。
「ふるさと納税」で控除される金額は、年収や家族構成によって異なります。
尚、不動産投資家においては、不動産所得の所得税額をプラスして、控除上限額を計算する必要があります。
その年の所得を年末に計算して(ご自身で概算で計算するか、税理士に計算をしてもらうか、になります)、控除上限額を確認します。
場合によっては、年末まで待たずに、前年度の所得税額を参考にして、控除上限額をだいたい知ることができるかもしれません。
※次の項目「2.控除上限額と控除額を確認する」で、計算方法などを解説しています
②寄附する自治体(返礼品)を選ぶ
応援したい地域や返礼品などから、自分に合った寄附先を選びます。
返礼品を先に選ぶことで、応援する自治体を選ぶことになるという流れになる方も近年では増えて居ます。
ふるさと納税の返礼品で、どのような商品が人気かという、人気ランキングはサイトなどで確認できます。
③自治体から書類と返礼品を受け取る
寄附申し込み・支払いが完了すると、寄附をした自治体から「寄附金受領証明書」と「返礼品」が届きます。
「寄附金受領証明書」は税金控除の手続きに必要な書類となりますので、大切に保管します。
また、これはネットショッピングではないため、返礼品を選ぶ時期や内容によっては、返礼品が届くまで1ヶ月以上も待つような場合もあります。
④税金控除の手続きをする
税金の控除を受けるためには「確定申告」または「ワンストップ特例制度」の申請のいずれかの手続き方法を取ります。
不動産所得がある人は、原則として「確定申告」を行う必要があるため、「ワンストップ特例制度」での申請はできません。
よって、今回の記事では、ワンストップ特例制度については詳しく取り上げません。
※もしワンストップ特例制度について、詳細をご確認されたい場合は、以下の公式サイトを参考にしてください。
▼参考となるサイト
ふるさと納税で任意の自治体に寄附を行う時、控除を受けられる金額には上限があります。
控除上限額は、納めている税金の金額によって異なり、寄附を行う方の家族構成や年収(所得)や、すでに受けている税金控除(住宅ローン控除や医療費控除など)の金額によって決まります。
ふるさと納税を行う前に、自身の控除上限額がいくらになるか、確認をする必要があります。
上限額を超えて寄附を行うと、上限以上の余剰分は自己負担が発生してしまうためです。
控除上限額を確認するためには、控除上限額をシミュレーションできる公式のサイトがあるため、そちらを利用すると良いでしょう。
ふるさと納税ポータルサイト「ふるなび」の、控除シミュレーションで計算することができます。
▼控除シミュレーションはこちらから(ふるなび)
この金額の範囲内で、返礼品を選ぶことができるため、この控除上限額の確認(シミュレーション)は必須になります。
寄附金の控除額は、「所得税の還付額」「住民税(基本分)の控除額」「住民税(特例分)の控除額」の3つの合計金額となります。
寄附金の控除額 =「①所得税の還付額」+「②住民税(基本分)の控除額」+「③住民税(特例分)の控除額」
※実際の寄附金は、上記控除額に自己負担金の2,000円を加算します。
※上記の金額はすべて目安額となります。具体的な計算は、住んでいる市区町村によって変わる事があります。
所得税の還付額 =(ふるさと納税の寄附金額 - 2,000円)×(所得税の税率)
住民税(基本分)の控除額 =(ふるさと納税の寄附金額 - 2,000円)× 10%
・③住民税(特例分)の控除額の計算
住民税(特例分)の控除額 =(ふるさと納税の寄附金額 - 2,000円)× (90% - 所得税の税率)
※住民税(特例分)の控除が住民税所得割額の2割以上の場合は、〈住民税(特例分)の控除 = (住民税所得割額)× 20%〉で計算します。
本業以外にアパート経営などの不動産所得がある場合、ふるさと納税を行うことで、より多くのメリットを受けることが可能です。
所得に応じて、寄附できる控除上限額が上がるため、受け取る返礼品が増え、それに伴い所得税や住民税が軽減されるためです。
このことについて、詳しく見てみましょう。
ふるさと納税の控除上限額は、メインの給与所得に、副業の給与所得や事業所得、不動産所得といった所得を合算して計算します。
ふるさと納税の控除上限額は、寄付をした年の所得に応じて算出される住民税と所得税の金額によって異なります。
よって、納税額が多いほど、上限額も高くなります。
しかし、注意が必要な点もあります。
不動産所得の額は、去年と扱う物件数や家賃収入が変わらなければ、その年内に大体の額は計算ができるでしょう。
ですが、年末に大掃除をするタイミングなどに、物件の住人から設備の修理や修繕を依頼されるケースは少なくありません。
雪の多い地域や、季節的なダメージを受けやすい地域では、冬に入ってから設備の故障などが起こるケースは十分に想定されます。
よって、年末に急に予測外の経費が必要となった場合は、年間の不動産所得も変わってくる可能性があります。
すると同時に、経費の計上が増えれば、不動産所得も変わるため、そのようなケースが起こることも想定されると良いでしょう。
よくあるケースですが、不動産投資を始めた初年度は、初期費用などが多くかかって不動産所得がマイナス(赤字)となる可能性もあります。
不動産投資が赤字の場合、前述したように、メインの給与所得の額に、不動産所得を合算してプラスになる事はなく、マイナスになる計算です。
よって、不動産所得が赤字の場合は、プラスの場合とは別の考え方や、対処が必要となります。
ここで、赤字の場合の考え方を見てみましょう。
不動産所得が赤字の場合、給与所得からマイナスの不動産所得が引かれるので(損益通算)、損益通算した結果の金額が所得となり、給与所得の金額より所得が減る形になります。
課税対象となる所得額が少なくなると納める税金も低くなりますが、ふるさと納税の上限額も同時に減ることになります。
ここで対処についても考える必要があります。
つまり、給与所得だけを念頭においてふるさと納税の上限額をシミュレーションしていると、想定していたふるさと納税の上限額をはみ出て利用してしまい、上限額を超えた分は純粋に寄付することになるかもしれません。
よって、不動産所得が赤字の場合は、ふるさと納税の活用の仕方に注意が必要になります。
確定申告を行い、ふるさと納税による控除を受ける際に、注意すべき点について以下の4点を解説します。
・ふるさと納税は節税対策ではない
ここまでの解説でわかるように、ふるさと納税は節税ではありません。
解説としては繰り返しになりますが、前払いした税金(ふるさと納税としての寄附)が、後から控除・減額される「税金の前払い(寄附)」が本来の仕組みなので、返礼品がもらえることから、税金が安くなり得をした気分にさせてくれるという仕組みです。
例)もし、前年に3万円をふるさと納税で寄附した場合、3万円から2,000円(自己負担金)を差し引いた2万8,000円に所得税率(仮に20%とすると)を掛けた5,600円がその年の所得税から控除されることになります。
・副業として不動産投資を行っている場合は会社に知られる事になる
給与所得と不動産所得を合算した金額で確定申告を行うと、確定申告の情報は、住んでいる自治体に引き継がれます。
自治体で算定をした住民税額は、「主たる給与の支払を受けている勤務先」を通じて徴収されることになっているため、不動産投資を行っていることが会社に知られてしまうので、会社に知られたくない人にとっては注意が必要です。
会社に知られたくない人は確定申告を行う際に、確定申告書第2表にある「住民税・事業税に関する事項」の欄で、「自分で納付」を選択することができます。
そうすれば、住民税の通知は、会社ではなく自宅に届くため、会社には知られずに済むことになります。
・高額の返礼品は課税対象になる
ふるさと納税の返礼品が高額な場合は、「一時所得」として課税対象となることがあります。
年間50万円までは非課税ですが、50万円を超えると確定申告を行わなければなりません。
多額なふるさと納税をする場合には、この点を念頭におくべきになります。
・不動産収入が20万円を超えると確定申告が必要となる(ワンストップ特例制度は利用できない)
不動産投資の年収が20万円を超えると、誰もが確定申告が必要となります。
ふるさと納税を簡単に納めることができるための、ワンストップ特例制度がありますが、これは給与所得だけが所得である人にとっての制度です。
よって、不動産投資の年収が20万円を超える人は、控除の申請には確定申告をする必要があります。
ふるさと納税を行なってみたいが、仕組みが難しそう、どのように行えばいいか理解しにくそう、と考えて方のために、ふるさと納税についてわかりやすく解説させていただきました。
特に、今回の記事では、不動産投資家の方に向けて、不動産所得をどのようにふるさと納税にいかす事ができるかを解説しています。
これから、ふるさと納税を活用してみたいという方は、ぜひ、今回の記事を参考にしてください。
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