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2021.05.27

満室の窓口

アパート・マンションの寿命は何年?耐用年数と建物を長持ちさせるポイント

「所有しているアパートは、あと何年使えるのだろう」

「マンションの耐用年数を過ぎたら、建て替えなければならないのだろうか」

と、不安を感じるオーナーもいるのではないでしょうか。

建物には「法定耐用年数」が定められています。

しかし、法定耐用年数は、建物が安全に使用できる期間や、取り壊さなければならない時期を示したものではありません。

アパート・マンションの実際の寿命は、建物の構造だけでなく、施工状態や立地、日頃の管理、修繕の実施状況などによって大きく変わります。

この記事では、アパート・マンションの構造別の耐用年数や、実際の建物寿命との違い、建物を長持ちさせるためのポイントを解説します。


<目次>
1.アパート・マンションの寿命は何年?
2.法定耐用年数は建物の寿命ではない
3.構造別に見るアパート・マンションの法定耐用年数
4.法定耐用年数を過ぎるとどうなる?
5.アパート・マンションの寿命を左右する5つの要因
6.アパート・マンションを長持ちさせるポイント
7.修繕・売却・建て替えはどう判断する?
8.まとめ


1.アパート・マンションの寿命は何年?

アパート・マンションの寿命を「築何年まで」と一律に決めることはできません。

同じ構造、同じ築年数の建物でも、定期的に点検や修繕が行われている建物と、不具合が長期間放置されている建物とでは、劣化の進み方が異なるためです。

例えば、外壁のひび割れや屋上防水の劣化を放置すると、雨水が建物内部へ浸入し、構造部分の劣化につながる可能性があります。

一方、小さな不具合を早い段階で発見し、適切に修繕している建物は、築年数が経過していても良好な状態を維持しやすくなります。

そのため、建物の寿命を考える際は、築年数だけではなく、現在の劣化状況や修繕履歴、今後必要となる工事まで含めて判断することが重要です。


2.法定耐用年数は建物の寿命ではない

アパート・マンションの寿命について調べると、「木造は22年」「鉄筋コンクリート造は47年」といった数字がよく出てきます。

これらは、税務上定められた「法定耐用年数」です。

法定耐用年数とは、建物などの減価償却資産の取得費を、何年にわたって必要経費として配分するかを決めるための年数です。

国税庁も、法定耐用年数を減価償却費の計算で用いる「使用可能期間に当たるもの」と説明しています。

つまり、法定耐用年数を過ぎたからといって、建物が突然使えなくなったり、入居者を住まわせられなくなったりするわけではありません。

法定耐用年数と実際の建物寿命は、分けて考える必要があります。


3.構造別に見るアパート・マンションの法定耐用年数

住宅用のアパート・マンションに設定されている主な法定耐用年数は、次のとおりです。


建物の構造住宅用建物の法定耐用年数
木造・合成樹脂造22年
鉄骨造:骨格材の厚さ3mm以下19年
鉄骨造:骨格材の厚さ3mm超4mm以下27年
鉄骨造:骨格材の厚さ4mm超34年
鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造47年


国税庁の耐用年数表では、住宅用の木造建物は22年、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造は47年と定められています。

鉄骨造は、柱などに使われる骨格材の厚さによって19年、27年、34年に分かれます。


木造アパートの法定耐用年数は22年

木造アパートの法定耐用年数は22年です。

ただし、築22年を過ぎた時点で、建物として利用できなくなるわけではありません。

外壁や屋根、防水、基礎、給排水設備などの状態が良好であれば、その後も賃貸住宅として使用できます。

木造建物では、雨漏りや木部の腐食、シロアリ被害などを防ぐため、定期的な点検と早めの修繕が重要です。


鉄骨造アパートの法定耐用年数は19~34年

鉄骨造の法定耐用年数は、骨格材の厚さによって異なります。

一般的に「軽量鉄骨造」「重量鉄骨造」と表現されることがありますが、税務上は骨格材の厚さを基準に、19年、27年、34年に区分されます。

鉄骨造では、外壁や屋根の劣化に加え、鉄部のさびや腐食にも注意が必要です。

塗装の剥がれや雨水の浸入を放置すると、建物内部の鉄骨に影響が及ぶ可能性があります。


RC造・SRC造マンションの法定耐用年数は47年

鉄筋コンクリート造、いわゆるRC造と、鉄骨鉄筋コンクリート造であるSRC造の住宅用建物は、法定耐用年数が47年です。

木造や鉄骨造と比べて法定耐用年数は長く設定されていますが、修繕が不要という意味ではありません。

外壁のひび割れ、タイルの浮き、屋上防水の劣化、給排水管の老朽化など、築年数に応じた不具合が発生します。

建物の規模が大きいほど修繕費も高額になりやすいため、長期的な資金計画が重要です。


4.法定耐用年数を過ぎるとどうなる?

法定耐用年数を過ぎても、建物の使用や賃貸経営を直ちにやめる必要はありません。

一方で、税務や今後の経営判断には影響するため、法定耐用年数を過ぎた後に何が変わるのかを理解しておきましょう。


減価償却の期間が終了する

建物の取得費は、購入した年に全額を経費にするのではなく、法定耐用年数にわたって減価償却費として計上します。

法定耐用年数を通じた償却が終了すると、その建物本体について計上できる減価償却費は原則としてなくなります。

ただし、大規模な改修や設備交換を行った場合、その費用の内容によっては、修繕費ではなく資本的支出として新たに減価償却するケースがあります。

工事費用の税務上の扱いは、工事内容や金額によって異なるため、税理士などの専門家へ確認することが大切です。


中古物件には別の耐用年数が適用されることがある

中古のアパート・マンションを購入した場合は、新築時と同じ法定耐用年数をそのまま使用するとは限りません。

購入後の使用可能期間を合理的に見積もることが難しい場合は、経過年数をもとに耐用年数を求める「簡便法」が認められています。

法定耐用年数をすべて経過した中古資産については、原則として法定耐用年数の20%に相当する年数を用い、算出結果が2年未満の場合は2年とします。

中古物件の減価償却は、取得時期や改修費用によって計算方法が変わることがあるため、購入前に確認しておきましょう。


5.アパート・マンションの寿命を左右する5つの要因

アパート・マンションの実際の寿命は、構造だけで決まるものではありません。特に次の5つが、建物の状態を大きく左右します。


1.建築時の施工品質

基礎や構造、防水処理などの施工品質は、その後の建物の耐久性に影響します。

施工時の不具合があると、築年数が浅くても雨漏りやひび割れなどが発生する可能性があります。

過去に大きな不具合があった建物では、修繕内容や再発の有無を確認する必要があります。


2.立地や周辺環境

建物の劣化速度は、立地環境によっても変わります。

海に近い地域では塩害、積雪地域では雪や凍結、湿気が多い場所ではカビや腐食などに注意が必要です。

日当たりや風通し、周辺の地形によっても、外壁や屋根の劣化状況は異なります。


3.日常的な管理状態

共用部の清掃や排水設備の確認など、日常的な管理も建物を長持ちさせるうえで欠かせません。

排水口の詰まりやごみの放置は、水漏れや害虫発生などの原因になることがあります。

日頃から建物を確認することで、小さな異変にも気づきやすくなります。


4.修繕の実施状況

外壁塗装や屋上防水、屋根、シーリング、鉄部塗装などは、建物を雨水や紫外線から守る役割を持っています。

劣化を放置すると、表面的な補修だけでは済まず、下地や構造部分まで工事が必要になることがあります。

不具合が小さい段階で対応することが、建物へのダメージと修繕費の拡大を抑えるポイントです。


5.設備の更新状況

建物本体に問題がなくても、給排水管や給湯器、電気設備、消防設備、エレベーターなどは、建物より先に更新時期を迎えることがあります。

設備の老朽化は、入居者の生活や安全性に直接影響します。建物本体と設備を分けて考え、それぞれの更新時期を把握しておきましょう。


6.アパート・マンションを長持ちさせるポイント

建物の寿命を延ばすためには、不具合が発生してから対応するだけでなく、劣化を予測しながら計画的に管理することが重要です。


定期点検で劣化を早期発見する

外壁のひび割れや塗装の剥がれ、鉄部のさび、屋上の水たまり、共用廊下の破損などを定期的に確認しましょう。

入居者から寄せられる「天井にシミがある」「水の流れが悪い」「設備から異音がする」といった連絡も、建物や設備の不具合を早期発見する手掛かりになります。

建物の状態を詳しく把握したい場合は、専門家による建物診断を活用する方法もあります。

国土交通省が定める建物状況調査では、所定の講習を修了した建築士が、建物の構造上重要な部分や雨水の浸入を防止する部分などを調査します。


長期修繕計画を作成する

「壊れたら直す」という対応だけでは、工事が重なったときに大きな支出が発生する可能性があります。

外壁、屋根、防水、給排水設備などについて、今後必要になる工事とおおよその時期、費用を整理した長期修繕計画を作成しておきましょう。

国土交通省も、マンションの快適な居住環境と資産価値を維持するためには、経年劣化に対して適時適切な修繕を行うことが重要だとしています。

国のガイドラインは主に分譲マンションを対象としていますが、賃貸アパート・マンションでも、将来の修繕内容と費用を事前に把握するという考え方は参考になります。


修繕計画を定期的に見直す

一度作成した修繕計画を、そのまま使い続けるのは適切ではありません。

建物の劣化状況や工事費、材料費、必要な設備は時間とともに変化します。

国土交通省のマンション管理・再生ポータルサイトでは、長期修繕計画を5年程度で見直し、必要な修繕積立金額を確認することが、マンションの長寿命化につながると説明しています。

定期点検の結果や過去の工事履歴を反映しながら、計画を更新していきましょう。


修繕費を計画的に確保する

大規模修繕や設備交換には、まとまった費用がかかります。

必要な時期に資金が不足していると、修繕を先送りせざるを得なくなり、劣化がさらに進む可能性があります。

毎月の家賃収入から一定額を修繕用として確保するなど、将来の工事に備えた資金計画を立てておくことが大切です。


修繕履歴を残す

修繕を行った日付、工事内容、施工会社、費用、保証期間などを記録しておきましょう。

修繕履歴が整理されていると、次に必要な工事を判断しやすくなります。

また、管理会社や施工会社が変わった場合にも、建物の状態を正確に引き継げます。

将来物件を売却する際にも、適切に維持管理してきたことを伝えるための資料になります。


7.修繕・売却・建て替えはどう判断する?

築年数が経過した物件では、「修繕を続けるべきか」「売却するべきか」「建て替えるべきか」という判断が必要になることがあります。

ただし、法定耐用年数を過ぎたという理由だけで、建て替えを決める必要はありません。

まずは建物の安全性、今後必要になる修繕費、空室状況、賃料収入、周辺の賃貸需要などを確認しましょう。

建物の構造部分に大きな問題がなく、修繕後も安定した入居需要が期待できる場合は、修繕しながら運用を続ける選択肢があります。

一方、修繕費が増え続けている、間取りや設備が現在の入居者ニーズに合っていない、十分な収益を確保できないといった場合は、売却や建て替えも含めて比較する必要があります。

築年数だけで判断せず、建物の状態と賃貸経営の収支をあわせて検討することが重要です。



8.まとめ

アパート・マンションの法定耐用年数は、木造が22年、鉄骨造が19~34年、RC造・SRC造が47年です。

ただし、法定耐用年数は減価償却費を計算するための税務上の年数であり、建物が使用できる期限を示したものではありません。

実際の建物寿命は、施工品質や立地環境、日頃の管理、修繕状況などによって変わります。

所有する物件を長く活用するためには、定期点検によって劣化を早期に発見し、長期修繕計画に沿って必要な工事を行うことが大切です。

修繕、売却、建て替えで迷ったときは、築年数だけを見るのではなく、建物の状態や今後必要になる費用、賃貸需要、収益性を総合的に確認しましょう。





参考:




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